はじめに
ボウリングのウレタンボールを語るうえで、外すことのできない存在。
それがSTORM(ストーム)の「ピッチブラック」です。
ショートコンディションやスポーツコンディションを投げるボウラーなら、一度は名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。
そんな名作ピッチブラックが、硬度78のウレタンカバーを搭載して登場しました。
その名も、
「ピッチブラック78/U」
です。
従来のピッチブラックが持っていた「読みやすさ」「扱いやすさ」「暴れにくさ」という魅力を残しながら、新たに硬度78のウレタン素材を採用。
今回は、そんなピッチブラック78/Uについて、スペック・特徴・曲がり方・おすすめのレーンコンディション・向いているボウラーまで詳しく解説していきます。
ピッチブラック78/Uとは?
ピッチブラック78/Uは、STORMから2026年8月に登場したウレタンボールです。
ピッチブラックといえば、長年にわたりSTORMのウレタンラインを代表してきたモデル。
リアクティブボールのような大きなバックエンドリアクションを狙うのではなく、
「必要以上に曲げず、狙ったところへボールを運ぶ」
という性能を重視しています。
ピッチブラック78/Uでも、その基本コンセプトは変わっていません。
むしろ「コントロール性能」というピッチブラック本来の魅力を、現代の78D世代に合わせて進化させたモデルと考えると分かりやすいでしょう。
ショートコンディションでリアクティブでは先の動きが強すぎる。
かといってスペアボールでは当然曲がらない。
そんな場面で絶妙なポジションに入ってくれるのがピッチブラック78/Uです。
ピッチブラック78/Uのスペック
| 項目 | スペック |
| メーカー | ストーム |
| ボール名 | ピッチブラック78/U |
| カバーストック | コントロール2-78ウレタン |
| コア | キャパシターコア |
| RG | 2.570(15ポンド) |
| ΔRG | 0.022(15ポンド) |
| フレア | ミディアム~ロー |
| 硬度 | 78 |
| 表面仕上げ | 1000-grit Abralon |
| カラー | ピッチブラック |
| 取扱重量 | 14~16ポンド |
| 発売 | 2026年8月 |
数字を見て注目したいのが、
RG 2.570 / ΔRG 0.022
というスペックです。
近年の高性能リアクティブボールと比較するとΔRGはかなり低め。
つまり、トラックフレアを大きく出して強烈に曲げることを狙った設計ではありません。
これこそがピッチブラックらしさです。
ピッチブラック78/Uの特徴
最大の特徴は「コントロール2-78ウレタン」
ピッチブラック78/U最大の変更点と言えるのが、
コントロール2-78ウレタン
の採用です。
硬度78のウレタンカバーを搭載することで、現在の競技シーンを意識しながら、ピッチブラックらしい予測しやすいリアクションを実現しています。
ここで重要なのは、
「78Dになったから曲がらないボールになった」
と単純に考えないことです。
ボウリングボールの動きは硬度だけでは決まりません。
表面仕上げ、カバー素材、コア、レイアウト、回転数、球速、そしてレーンコンディションなど、さまざまな要素によって変化します。
ピッチブラック78/Uの場合は1000-grit Abralonという比較的粗めの表面仕上げ。
そのためレーン手前から一定の摩擦を作りながら、ウレタンらしい滑らかな軌道を描くことが期待できます。
キャパシターコアが生み出す「暴れない強さ」
ピッチブラックシリーズを語るうえでもう一つ重要なのが、
キャパシターコア
です。
15ポンドでRG 2.570、ΔRG 0.022。
高RG・低ΔRG寄りの設計になっています。
このスペックからも分かるように、ピッチブラック78/Uはフレアを大きく出してレーンを激しく攻略するタイプではありません。
むしろ、
ボールの動きをコンパクトにまとめること
に大きな意味があります。
ショートコンディションでは、ボールが外へ出た瞬間に一気に向きを変えてしまうことがあります。
特に回転量の多いボウラーの場合、リアクティブボールでは少し外へミスしただけでボールが急激に戻ってしまうこともあります。
ピッチブラック78/Uなら、その動きを抑えやすい。
派手ではありません。
しかし、この「派手ではない」という部分こそ競技ボウリングでは大きな武器になります。
ピッチブラック78/Uはどんな曲がり方?
ピッチブラック78/Uの軌道を一言で表現するなら、
「直線的に走って、なだらかに向きを変える」
タイプです。
リアクティブボールのように、
スキッド → 強烈な方向転換
という動きではありません。
イメージとしては、
スキッド → 緩やかなフック → 安定したロール
という流れ。
特にブレークポイントでの動きが読みやすく、急激に横へ飛ぶリアクションを抑えやすいのが魅力です。
ショートコンディションでは、この「曲がりすぎない性能」が非常に重要になります。
ピッチブラック78/Uが強いレーンコンディション
最も期待できるのは、
ショートコンディションです。
特に、
「外へ出すと戻りすぎる」
「リアクティブでは先の動きが強すぎる」
「ポケットへの入り方が毎回変わってしまう」
というコンディション。
こうした状況ではピッチブラック78/Uの出番です。
適性としては、
ドライ~ミディアム、特にショート寄りのコンディション
を中心に考えると使いやすいでしょう。
ただし注意したいのがオイル量です。
「ウレタンだからオイルに強い」と思われることがありますが、必ずしもそうではありません。
オイル量が多すぎる場合、ピッチブラック78/Uでは十分な摩擦を得られず、ポケットまで届かない可能性があります。
オイル量が非常に多いコンディションでは、強いソリッドリアクティブなどを選択した方が攻略しやすいケースもあります。
ハウスコンディションでも使える?
もちろん使用できます。
ただし、
誰にでもハウスコンディションでおすすめできるボールではありません。
一般的なハウスコンディションは外側に摩擦があり、内側にオイルが多く残されているケースがあります。
こうしたコンディションではリアクティブボールの方がミスへの許容範囲を作りやすいことがあります。
一方で、
「外のドライに触れるとリアクティブが動きすぎる」
というボウラーならピッチブラック78/Uが有効になる可能性があります。
特に高回転ボウラーや両手投げでは選択肢に入りやすいでしょう。
高回転ボウラーとの相性はかなり良さそう
ピッチブラック78/Uを特におすすめしたいのが、
回転量の多いボウラーです。
回転量が多いほど、ドライゾーンに触れたときのリアクションも大きくなりやすくなります。
リアクティブボールでは、
「少し外へ出しただけなのに戻りすぎる」
という状況が発生することがあります。
そんなときにピッチブラック78/U。
ウレタン+低フレア設計によって横方向への動きを抑え、ラインをコンパクトにできます。
両手投げや高回転ボウラーがショートコンディションを攻略するときには、かなり面白い選択肢になるでしょう。
逆におすすめしにくいボウラー
一方で、
球速が速く、回転量が少ないボウラー
は注意が必要です。
ピッチブラック78/Uはリアクティブのように奥で大きく向きを変えるボールではありません。
球速が非常に速く回転量が少ない場合、
「思った以上に曲がらない」
「ポケットまでボールが戻ってこない」
と感じる可能性があります。
このタイプのボウラーが使用するなら、レイアウトや表面調整も含めてプロショップで相談することをおすすめします。
ピッチブラック78/UとIQツアー78/Uはどう使い分ける?
STORMの78Dウレタンとして気になる存在が、
IQツアー78/U
です。
同じ78D系でもキャラクターは異なります。
| 比較 | ピッチブラック78/U | IQツアー78/U |
| コア | キャパシターコア | C3セントリピタルコントロールコア |
| RG | 2.570 | 2.490 |
| ΔRG | 0.022 | 0.029 |
| 表面 | 1000-grit Abralon | 500-grit Abralon |
| 軌道イメージ | 直線的・低フレア | より転がりを感じやすい |
| 特徴 | ラインをコンパクトにする | 安定した転がりとコントロール |
特にRGの違いは大きなポイント。
ピッチブラック78/UはRG 2.570。
IQツアー78/UはRG 2.490。
そのため同じSTORMの78Dウレタンでも、ボールの転がり方や使いたい場面には違いが出てきます。
ピッチブラック78/Uは、
「余計な動きを極力減らしたい」
という場面で特に魅力を発揮するでしょう。
従来のピッチブラックから何が変わった?
ピッチブラック78/Uを検討している人が最も気になるところでしょう。
最大のポイントはやはり、
78D世代のウレタンカバーへ変更されたこと。
一方、キャパシターコアは引き続き採用されています。
つまり、
「ピッチブラックというボールの基本的なキャラクターを大きく変える」
というより、
名作ピッチブラックのコンセプトを現代仕様へアップデートした
と考える方が分かりやすいでしょう。
従来モデルを使っていたボウラーにとっても比較的イメージしやすいモデルになっています。
ピッチブラック78/Uのメリット
最大のメリットは、
予測のしやすさです。
ボウリングでは「曲がるボール=良いボール」とは限りません。
特に難しいスポーツコンディションでは、
「毎回同じ場所で同じように曲がってくれる」
ことが非常に重要です。
ピッチブラック78/Uは、まさにそこを狙ったボール。
リアクティブでは反応が強すぎる状況でも、動きを小さくまとめることでポケットへのラインを安定させやすくなります。
ピッチブラック78/Uのデメリット
もちろん万能ではありません。
最も大きな弱点は、
使えるコンディションが比較的限定されること。
大量のオイルがあるロングコンディションなどでは、本来の性能を発揮しにくいでしょう。
また、リアクティブのような大きな入射角を作ってストライクを狙いたい人には物足りなく感じる可能性があります。
ピッチブラック78/Uは、
「曲げて倒すボール」
というより、
「軌道を安定させてポケットへ運ぶボール」
として考えた方が、このボールの魅力を理解しやすいです。
こんな人におすすめ!
ピッチブラック78/Uは、特に以下のようなボウラーにおすすめです。
・ショートコンディションを攻略したい
・スポーツコンディションを投げる機会が多い
・リアクティブでは先の動きが強すぎる
・回転量が多い
・両手投げでボールが動きすぎる
・ウレタンらしい安定した軌道が好き
・旧ピッチブラックを愛用していた
・78Dウレタンを探している
・曲がり幅よりコントロール性能を重視したい
特に競技ボウラーにとっては、バッグに入れておく意味のある一球でしょう。
ピッチブラック78/Uの評価
個人的な性能イメージをまとめると、
| 性能 | 評価 |
| 直進安定性 | ★★★★★ |
| コントロール性能 | ★★★★★ |
| 先のキレ | ★★☆☆☆ |
| 総フック量 | ★★☆☆☆ |
| ショート適性 | ★★★★★ |
| 扱いやすさ | ★★★★☆ |
| 高回転ボウラーとの相性 | ★★★★★ |
このボールに「先のキレ」を求める必要はありません。
むしろ、
キレないことが性能です。
リアクティブボールが暴れてしまう状況で、いかに軌道を小さく、シンプルにできるか。
そこにピッチブラック78/Uの価値があります。
まとめ
ピッチブラック78/Uは「曲がらないこと」を武器にするウレタン
STORMの名作ウレタン「ピッチブラック」が、78D世代となって帰ってきました。
新たにコントロール2-78ウレタンを搭載しながら、キャパシターコアによる低フレアで扱いやすいキャラクターは継承。
派手なバックエンドリアクションを求めるボールではありません。
しかしショートコンディションでは、
「動かない」
「暴れない」
「読みやすい」
という性能が何より強い武器になることがあります。
ボウリングではボールを大きく曲げることだけが正解ではありません。
ときには曲がりを抑えることで、ストライクへのラインが一気に見えてくることがあります。
ピッチブラック78/Uは、まさにそんな場面のための一球。
リアクティブボールでは先の動きが強すぎる。
ウレタンを使いたいけれど、できるだけシンプルな軌道が欲しい。
そんなボウラーなら、ピッチブラック78/Uはかなり注目したいボールです。
「派手に曲げる」のではなく、「狙った場所へ正確に運ぶ」。
名作ピッチブラックの思想を78D時代へ受け継いだ、STORMらしい競技向けウレタンボールと言えるでしょう。


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