はじめに
近年のボウリング界で、急速に存在感を増しているのが「78Dウレタン」です。
従来のウレタンボールとは少し違い、硬度規制を意識して開発された78D系のボールが各メーカーから登場しています。
その中でもかなり異色の存在と言えるのが、エボナイトの**「ザ・ワン ウレタン78D(THE ONE URETHANE 78D)」**です。
「78Dになるとウレタンは曲がらなくなるのでは?」
「ブラックパールウレタン78Dのような扱いやすいタイプが主流になるのでは?」
そんなイメージを持っている人ほど、このボールのスペックを見ると驚くかもしれません。
なぜならザ・ワン ウレタン78Dは、ウレタンらしいコントロール性能を残しながら、**強力な非対称コアによって中盤からバックエンドまでしっかり動かすことを狙った“強いウレタン”**だからです。
今回は、ザ・ワン ウレタン78Dのスペック、特徴、レーン上で期待できる動き、向いているコンディション、他の78Dウレタンとの違いまで詳しく解説していきます。
ザ・ワン ウレタン78Dとは?
ザ・ワン ウレタン78Dは、エボナイトから登場した78D対応のソリッドウレタンボールです。
最大の特徴は、
「強いコア × 78Dソリッドウレタン」
という組み合わせ。
ウレタンというと、
・手前から転がる
・バックエンドの動きが穏やか
・直線的にラインを作りやすい
・ショートパターンで使いやすい
というイメージが強いと思います。
ザ・ワン ウレタン78Dも基本的にはウレタンらしいコントロール性能を持っています。
しかし、大きな違いがコアです。
ザ・ワンシリーズで知られるCentrex Symmetrical Mass Biasを搭載。
名前に「Symmetrical」と入っていますが、ボールとしてはマスバイアス差を持つ非対称設計です。
15ポンドではRG 2.466、Diff 0.056、MB Diff 0.027。
ウレタンボールとして考えると、かなり強烈な数字です。
つまり、
「ウレタンだから弱い」のではなく、「ウレタンの扱いやすさを強いコアで動かす」
という発想のボールだと考えると分かりやすいでしょう。
ザ・ワン ウレタン78Dのスペック
| 項目 | スペック |
| メーカー | エボナイト |
| ボール名 | ザ・ワン ウレタン78D |
| 英語名 | THE ONE URETHANE 78D |
| カバー | ソリッドウレタン78D |
| コア | Centrex Symmetrical Mass Bias |
| コアタイプ | 非対称 |
| RG(15lb) | 2.466 |
| Diff(15lb) | 0.056 |
| MB Diff(15lb) | 0.027 |
| 表面仕上げ | 500 / 1000 Siaair Micro Pad |
| 発売時期 | 2025年1月 |
スペックで最も注目したいのはDiff 0.056です。
一般的にウレタンボールには、リアクティブほど大きなフレアを必要としない設計も多くあります。
しかしザ・ワン ウレタン78Dは違います。
高いDiffを持った強力なコアを使用することで、しっかりフレアを発生させながらレーン中盤でボールを起こしていく設計になっています。
これが、ザ・ワン ウレタン78Dを普通の78Dウレタンとは違う存在にしています。
ザ・ワン ウレタン78Dの特徴
最大の特徴は「ウレタンなのにコアが強い」
個人的に、このボールを見るうえで一番重要なのはここだと思います。
78Dという数字だけを見て、
「硬いウレタンだから曲がらなそう」
と判断するのは少し早いです。
ザ・ワン ウレタン78Dには、ザ・ワンシリーズで長く使われてきた強力なCentrex系コアが搭載されています。
低めのRGによって立ち上がりを作り、高いDiffによってフレア量を確保。
さらに非対称設計によって、ボールの向きが変わる動きを作りやすくなっています。
そのためイメージとしては、
弱いウレタンを少し強くしたボールではありません。
むしろ、
強い非対称ボールのカバーをウレタンにした
と考えたほうが、このボールのキャラクターを理解しやすいと思います。
ザ・ワン ウレタン78Dの動き方
レーン手前の動き
ウレタンらしく、レーン手前では非常に安定した転がりを期待できます。
リアクティブのようにオイルの濃淡に対して敏感に反応しすぎず、ボールの動きを読みやすいのが魅力です。
特にスポーツコンディションでは、
「外に出した瞬間にリアクティブが急激に向きを変える」
「少し内に入っただけでオイルに乗って戻ってこない」
という状況があります。
そんなときにウレタンの予測しやすさが生きてきます。
ザ・ワン ウレタン78Dの場合は、さらに強いコアが入っているため、単純に真っすぐ転がっていくだけではなく、手前から中盤にかけてしっかりボールが立ち上がってくる感覚を作りやすいのがポイントです。
中盤のキャッチはかなり強め
ザ・ワン ウレタン78Dを選ぶ最大の理由になりそうなのが中盤です。
一般的な弱めのウレタンの場合、オイル量が増えるとボールが滑りすぎてしまい、十分に起き上がらないことがあります。
しかしザ・ワン ウレタン78DはDiff 0.056という高い数値を持っています。
そのためフレアを使いながら、中盤でしっかりボールを起こすことができます。
もちろんリアクティブの強いソリッドと同じキャッチではありません。
あくまで、
「ウレタンとして強い」
ということです。
ここを勘違いしないことが重要です。
バックエンドも一般的なウレタンより強い
そして面白いのがバックエンドです。
ウレタンの最大の魅力は、ブレークポイントで急激に向きを変えないこと。
ザ・ワン ウレタン78Dにも、その特徴は残っています。
ただし強力な非対称コアが入っているため、一般的なウレタンよりも先でボールが動いてくれます。
「キレる」というより、
ググッと向きを変えて、そのままピンへ寄っていく。
そんなイメージが近いでしょう。
実際にザ・ワン ブラックウレタンと比較したプロボウラーのテストでも、78D版はブラックよりバックエンドがわずかに動くという評価がされています。
ウレタンらしい緩やかな軌道を維持しながら、先でもうひと動き欲しい。
そんな人には非常に面白い選択肢です。
「曲がるウレタン」が欲しい人に向いている
78Dウレタンを選ぶときには、大きく分けて2種類の考え方があります。
一つは、
できるだけ動きを抑えてラインを直線的に作るタイプ。
もう一つが、
ウレタンの安定感を残しながら、ある程度しっかり曲げるタイプ。
ザ・ワン ウレタン78Dは明らかに後者です。
そのため、
「78Dウレタンが欲しいけれど、弱すぎるボールはいらない」
という人との相性はかなり良いと思います。
ブラックパールウレタン78Dとの違い
78Dウレタンを検討している人なら、ハンマーのブラックパールウレタン78Dも候補に入るでしょう。
この2つは同じ「78D系」でも、狙っている方向性がかなり違います。
ブラックパールウレタン78Dは、比較的シンプルで扱いやすい動きを作りやすいタイプ。
対してザ・ワン ウレタン78Dは、Centrex Symmetrical Mass Biasという非対称コアを搭載しています。
そのため、
コントロール重視 → ブラックパールウレタン78D
曲がり・中盤・コアの強さ重視 → ザ・ワン ウレタン78D
という考え方が分かりやすいでしょう。
どちらが上という話ではありません。
使いたいラインが違います。
個人的には、この2球を同じ「78Dウレタン」という理由だけで比較してしまうと、それぞれの良さが分かりにくくなると思います。
IQツアー78/Uと比較すると?
ストームのIQツアー78/Uも、78D時代を代表する存在です。
IQツアー78/Uは、IQシリーズらしいコントロール性能を活かしながら、非常に読みやすい軌道を作りやすいのが魅力。
対してザ・ワン ウレタン78Dは、よりコアの存在感が強いタイプです。
ザ・ワン ウレタン78Dの15ポンドは、
RG 2.466
Diff 0.056
MB Diff 0.027
というかなり強いスペック。
そのため、
「ウレタンでもしっかりフレアさせたい」
「中盤から先までコアの力を使いたい」
というボウラーなら、ザ・ワン ウレタン78Dの個性が生きてきます。
どんなコンディションで使いやすい?
個人的に一番期待したいのは、スポーツコンディションです。
特に、
・ショート〜ミディアム
・フラットなオイルパターン
・外の反応が強すぎるコンディション
・リアクティブだと先が暴れる状況
・通常の弱いウレタンでは物足りない状況
こうした場面で面白いと思います。
ショートだからといって、必ずしも弱いウレタンが正解とは限りません。
オイル量が多かったり、ボールが中盤で十分に起きなかったりすると、弱いウレタンではポケットまで運べないケースがあります。
そこでザ・ワン ウレタン78D。
ウレタンのカバーでブレークポイントの反応を抑えながら、強いコアで中盤からボールを動かす。
この組み合わせが武器になります。
ハウスコンディションではどう?
もちろんハウスコンディションでも使用できます。
ただし、注意したいのはオイルの変化です。
ウレタンはオイルを奥へ運びやすいため、投球を重ねることでコンディションそのものを変化させることがあります。
特に一般的なハウスコンディションでは、リアクティブのほうが簡単に幅を取れるケースも少なくありません。
そのため、
「ウレタンだからスコアが出る」
という考え方ではなく、
「リアクティブでは動きすぎるからウレタンを使う」
という明確な目的を持って使ったほうが、このボールの性能を引き出しやすいでしょう。
回転数が多いボウラーとの相性
ザ・ワン ウレタン78Dは、特に回転数の多いボウラーにとって面白いと思います。
高回転ボウラーの場合、リアクティブではドライゾーンに触れた瞬間にボールが急激に向きを変えてしまうことがあります。
ウレタンならその反応を抑えられます。
さらにザ・ワン ウレタン78Dはコアが強いため、
「弱いウレタンだと曲がらなさすぎる」
という問題にも対応しやすい。
両手投げや高回転タイプで、
「ウレタンのコントロール性能は欲しい。でも先でもう少し動いてほしい」
という人には、かなり魅力的なスペックです。
ザ・ワン ウレタン78Dのメリット
このボールのメリットをまとめると、
・78Dソリッドウレタンによる高いコントロール性能
・強力な非対称コアを搭載
・Diff 0.056による大きなフレアポテンシャル
・一般的なウレタンより中盤を作りやすい
・バックエンドでも動きを出しやすい
・スポーツコンディションでラインを読みやすい
・高回転ボウラーでも使いやすい
といったところです。
最大の魅力はやはり、
「ウレタンなのに弱くない」
ことでしょう。
ザ・ワン ウレタン78Dのデメリット
一方で、誰にでもおすすめできるボールではありません。
最大の注意点は、ウレタンとしてはコアがかなり強いことです。
「とにかく真っすぐ投げたい」
「ほとんど曲がらないウレタンが欲しい」
という人なら、もっと穏やかなコアを搭載したウレタンのほうが扱いやすい可能性があります。
また、リアクティブの代わりとして購入すると、
「思ったより先で曲がらない」
と感じる可能性もあります。
あくまでウレタン。
リアクティブの強い非対称ボールとは、レーンへの接地の仕方もブレークポイントでの反応も違います。
こんな人におすすめ
ザ・ワン ウレタン78Dは、
「普通のウレタンでは弱い。でもリアクティブでは先が動きすぎる」
という人に特におすすめです。
具体的には、
・スポーツコンディションを投げる
・ショートパターンを攻略したい
・回転数が多い
・両手投げ
・ウレタンでも曲がりが欲しい
・中盤でしっかりボールを起こしたい
・ブラックパールウレタン78Dより強い選択肢が欲しい
・78D対応ウレタンをバッグに入れておきたい
こんなボウラーはチェックする価値があります。
JPBAのウレタン規制にも対応
競技ボウラーにとって重要なのがここです。
ザ・ワン ウレタン78Dは、JPBA公認の適合ウレタンボールとして2025年1月27日に認定されています。
78D系ウレタンを選ぶ理由は単純なボール性能だけではありません。
競技規則を考えたうえで安心して使用できるボールを選びたい、という需要も今後さらに大きくなっていくでしょう。
※実際に大会で使用する場合は、その大会・主催団体の最新競技規則を必ず確認してください。
総合評価
ザ・ワン ウレタン78Dを一言で表現するなら、
「78D時代の“曲がるウレタン”」
です。
ウレタンらしい予測しやすい動きを残しながら、Centrex Symmetrical Mass Biasコアによって中盤からバックエンドまでしっかり動かす。
この組み合わせが非常に面白い。
特に15ポンドで、
RG 2.466 / Diff 0.056 / MB Diff 0.027
というスペックは、ウレタンボールとして見るとかなり強烈です。
弱いウレタンでは物足りない。
でもリアクティブではブレークポイントの反応が強すぎる。
そんな「ちょうど間」を探しているボウラーにとって、ザ・ワン ウレタン78Dは大きな武器になる可能性があります。
まとめ
ザ・ワン ウレタン78Dは強いウレタンを求める人におすすめ
78D時代になり、ウレタンボールも以前より選択肢が増えてきました。
その中でもザ・ワン ウレタン78Dは、かなり明確な個性を持っています。
ただ硬度を78Dに対応させただけのウレタンではありません。
強力な非対称コアを組み合わせることで、
「手前から中盤の安定感」
「ウレタンらしい読みやすさ」
「一般的なウレタン以上のバックエンド」
を狙ったボールです。
ブラックパールウレタン78DやIQツアー78/Uなど、コントロール性能を重視した78Dボールとは少し違う立ち位置。
ウレタンでもしっかり曲げたい。
そんなボウラーにこそ、一度投げてもらいたい一球です。
これから78Dウレタンを選ぶなら、「どのボールが一番曲がるか」だけではなく、
自分がウレタンに何を求めているのか。
ここを考えて選ぶことが重要です。
そして「強さ」と「コントロール性能」の両方を求めるのであれば、ザ・ワン ウレタン78Dは非常に面白い選択肢になるでしょう。



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