はじめに
ストームの人気シリーズとして、今なお名前を聞くことの多い「フィジックス」。
現在では数多くのフィジックスシリーズが登場していますが、その歴史を振り返るうえで外せないボールのひとつが**「フィジックスM(PHYSIX M)」**です。
初代フィジックスの後継として2019年に登場したフィジックスM。
「初代フィジックスと何が違うの?」
「Mはどんなレーンで使いやすい?」
「昔のボールだけど、どんな特徴があった?」
そんな疑問を持っている人もいるのではないでしょうか。
今回はフィジックスMについて、スペックだけでは分からないボールの特徴や初代との違い、向いているボウラーまで詳しく見ていきます。
フィジックスMとは?
フィジックスMは、ストームから2019年2月に発売されたフィジックスシリーズ第2弾のボールです。
大ヒットした初代フィジックスの基本設計を受け継ぎながら、表面仕上げやカバーストックの配合を調整することで、より直進性とバックエンドの動きを意識した仕上がりになっています。
初代フィジックスが登場したのは2018年。
当時、新開発の「アトミックコア」と「NRGハイブリッドリアクティブ」の組み合わせはかなりインパクトがありました。
フィジックスMでもこの組み合わせは継続されています。
つまり、まったく別物にモデルチェンジしたというより、
「初代フィジックスの良さを残しながら、キャラクターを少し変えた第2弾」
と考えると分かりやすいでしょう。
フィジックスMのスペック
| 項目 | スペック |
| メーカー | ストーム |
| ボール名 | フィジックスM |
| カバーストック | NRGハイブリッドリアクティブ |
| コア | アトミックコア |
| RG | 2.480(15ポンド) |
| ディファレンシャル | 0.053(15ポンド) |
| マスバイアス差 | 0.017(15ポンド) |
| フレア | 6インチ+ |
| 表面仕上げ | 2000グリット・アブラロン |
| 硬度 | 73〜75 |
| カラー | シルバー/ラズベリー/ブルー |
| フレグランス | キャンディー・アップル |
| 適正レーン | ミディアムヘビー中心 |
フィジックスMの大きな特徴は、やはりアトミックコアです。
15ポンドでRG2.480、ディファレンシャル0.053、マスバイアス差0.017という数値を持つ非対称コアで、しっかり転がりながら大きなフレアを作る設計になっています。
フィジックスシリーズらしい「転がりの強さ」は、このアトミックコアによるところが非常に大きいです。
フィジックスMの特徴
フィジックスM最大の特徴は「走るのに弱くない」
フィジックスMをスペックだけで見ると、
「2000番仕上げなら、かなり手前から噛みそう」
と思うかもしれません。
ところが、このボールのおもしろいところはそこです。
単純に手前から噛んで、ダラダラ曲がるボールではありません。
アトミックコアによる直進性能があるため、オイルの中でもボールが前へ進もうとします。
そしてレーン中盤からしっかり転がり、バックエンドでは力強く向きを変えてくれる。
個人的にフィジックスシリーズの魅力を一言で表現するなら、
「転がっているのに前へ行く」
という感覚です。
ただ滑って先へ行くボールとは少し違います。
レーンを掴みながらエネルギーを残して進み、最後にしっかりピンへ向かってくれる。
ここがフィジックスMの大きな魅力です。
NRGハイブリッド×2000アブラロン
フィジックスMには「NRGハイブリッドリアクティブ」が採用されています。
このカバー自体は初代フィジックスと同じ名称ですが、フィジックスMではパール寄りに混合比率が微調整されたと国内販売元から説明されています。
さらに大きな違いとなるのが表面仕上げです。
初代フィジックスは、
3000グリット・アブラロン
でした。
それに対してフィジックスMは、
2000グリット・アブラロン
になっています。
数字だけを見ると「Mのほうが手前から強そう」と考えたくなりますが、カバーの配合変更もあるため、それだけで動きを判断できないところがおもしろいポイントです。
フィジックスMではオイルへの対応力を確保しながら、初代以上の直進性能とバックエンドモーションを狙った設計になっています。
初代フィジックスとの違い
フィジックスMを語るなら、やはり初代フィジックスとの比較は欠かせません。
| 比較 | 初代フィジックス | フィジックスM |
| コア | アトミックコア | アトミックコア |
| カバー | NRGハイブリッド | NRGハイブリッド |
| RG | 2.480 | 2.480 |
| Diff | 0.053 | 0.053 |
| MB差 | 0.017 | 0.017 |
| 表面 | 3000アブラロン | 2000アブラロン |
| イメージ | 強い転がり+ストロングアーク | 直進性+より明確なバックエンド |
基本となるスペックはかなり似ています。
しかし、実際のボール選びでは表面仕上げとカバーの調整による動きの違いを見ることが重要です。
初代フィジックスはレーン全体を使って大きく曲がる、非常に力強いストロングアーク系のイメージ。
対してフィジックスMは、その転がり感を残しながら、前へ進む感覚とバックエンドのメリハリを強めたモデルと考えると分かりやすいでしょう。
単純な「初代の強化版」というより、
フィジックスの基本性能を残して、少し違う攻め方をできるようにしたボール
という印象です。
フィジックスMの曲がり方
フィジックスMの軌道を3段階で考えてみましょう。
① レーン手前
2000番仕上げですが、必要以上に手前で失速するタイプではありません。
アトミックコアの特徴でもある直進力があり、比較的スムーズにレーン手前を通過してくれます。
「オイルに強い=手前から噛みまくる」
という単純な動きではないところがフィジックスMのおもしろさです。
② レーン中盤
ここからアトミックコアらしい転がりが出てきます。
ボールがレーンから離れている感じではなく、しっかりレーンを掴みながら前へ進んでいきます。
この中盤の安定感があるため、オイルがある程度多いコンディションでも安心感があります。
③ バックエンド
フィジックスMの見せ場です。
ブレークポイントから突然方向転換するだけのボールではなく、中盤から作った転がりを使って力強くポケットへ向かいます。
初代よりバックエンドの動きを感じやすく、
「しっかり走って、しっかり曲がる」
という分かりやすさがあります。
ピンアクションもフィジックスシリーズの魅力
フィジックスシリーズを投げたことがある人なら、
「なんで今ので倒れるの?」
と思った経験があるかもしれません。
フィジックスMもピンアクションの強さが魅力です。
大切なのは単純な曲がり幅ではありません。
ポケットへ入るときにボールがしっかりロールしていること。
アトミックコアによる強い転がりを維持したままピンへ入ることで、ピンへ効率よくエネルギーを伝えやすくなります。
薄めに入ったときにピンが横へ飛んだり、多少厚めでも押し切ったりする。
こうした「最後のひと押し」は、フィジックスシリーズが長年支持されてきた理由のひとつだと思います。
フィジックスMが使いやすいレーンコンディション
フィジックスMを最も使いやすいのは、
ミディアム〜ミディアムヘビー
あたりでしょう。
特にゲーム序盤など、レーン上にある程度オイルが残っている状況では性能を発揮しやすいです。
逆に、かなりオイルが削られた状態では注意が必要です。
フィジックスMは決して弱いボールではありません。
カバーもコアも強いため、ドライゾーンが大きくなってくると手前でエネルギーを消費してしまったり、バックエンドで扱いにくくなったりする可能性があります。
その場合は、もう少しカバーの弱いボールへ変更したほうがラインを作りやすくなるでしょう。
こんなボウラーにおすすめ
フィジックスMは特に、
- オイルの中でも安心して投げられるボールが欲しい
- 手前で噛みすぎるボールが苦手
- 中盤の転がりを重視している
- バックエンドにもある程度動きが欲しい
- 強いピンアクションを求めている
- フィジックスシリーズが好き
というボウラーと相性が良いでしょう。
また、球速が比較的速く、
「ボールがレーンを掴む前にピンまで行ってしまう」
という人にも候補になります。
NRGハイブリッドの摩擦力とアトミックコアの転がりによって、中盤からボールを起こしやすいからです。
一方で、球速が遅く回転量が多いタイプの場合、オイルが少なくなってから使うと強すぎる可能性があります。
フィジックスMは現在のフィジックスシリーズにもつながる重要な一球
現在までフィジックスシリーズにはさまざまなモデルが登場してきました。
それぞれカバーストックや仕上げによって動きは異なりますが、シリーズを象徴しているのはやはり、
「アトミックコアを中心とした力強い転がり」
です。
フィジックスMは、その方向性を初期に確立したモデルのひとつ。
初代フィジックスがシリーズの原点なら、フィジックスMは、
「フィジックスという設計に、まだ違う可能性がある」
ことを見せたモデルだったと言えるでしょう。
ちなみに2026年には「フィジックス・ジェネシス」が登場し、アトミック A.I.コアとA2Sハイブリッドリアクティブという現代の技術を使いながら、フィジックスの原点を意識した設計になっています。
フィジックスMを知っている人にとって、現在のシリーズを投げ比べるのも非常におもしろいと思います。
フィジックスMのメリット
メリット
フィジックスMの強みは、オイルへの対応力と直進性能、バックエンドの強さを高いレベルでまとめていること。
特に、
「強いボールなのに、ただ早く起き上がるだけではない」
という部分が魅力です。
アトミックコアの転がりとNRGハイブリッドの組み合わせによって、レーン中盤から安定した動きを作りやすくなっています。
フィジックスMのデメリット
一方で、オイルが少ないコンディションでは強さが裏目に出る場合があります。
ゲーム後半になって手前のオイルが削れてきたら、フィジックスMにこだわりすぎず、弱めのボールへチェンジする判断も必要です。
「曲がるから立ち位置をどんどん左へ移動する」
だけでは、ボールが手前でエネルギーを使い切ってしまう場合があります。
そんなボウラーにとって、フィジックスMは非常に魅力的な一球です。
フィジックスMの総評
ここまでフィジックスMの特徴を見てきましたが、最後に各性能を5段階でまとめてみます。
| 評価項目 | 評価 | コメント |
| 走り | ★★★★☆ | 強いカバーながら手前は比較的スムーズ |
| 中盤のキャッチ | ★★★★★ | アトミックコアらしい安定した転がり |
| バックエンド | ★★★★★ | ブレイクポイントから力強く方向転換 |
| オイルへの強さ | ★★★★★ | ミディアムヘビーを中心に高い対応力 |
| コントロール性 | ★★★★☆ | 強さの割にラインをイメージしやすい |
| ピンアクション | ★★★★★ | ピン前までエネルギーを残しやすい |
| 扱いやすさ | ★★★★☆ | オイルがある状況では非常に頼れる |
| ドライ対応 | ★★☆☆☆ | オイルが減ると強さが邪魔になりやすい |
| 総合評価 | ★★★★★ 4.7/5 | 強さ・走り・バックエンドのバランスが魅力 |
総合評価:★★★★★ 4.7 / 5
フィジックスMを総合的に評価すると、最大の魅力はやはり**「オイルに強いのに走り、奥ではしっかり動く」**というバランスの良さです。
特にミディアム〜ミディアムヘビーでは、アトミックコアの力強い転がりとNRGハイブリッドのオイルへの強さを存分に活かせます。
逆にドライになってくると強さが目立ってくるため、どんなコンディションでも使える万能型とは少し違います。
しかし、フィジックスMが得意とするコンディションにハマったときの安心感はかなり高い。
「オイルに負けない強さが欲しい。でも手前から噛みすぎるボールは使いたくない」
そんなボウラーにとって、フィジックスMは非常に魅力的な一球です。
まとめ
フィジックスMは「転がり・直進性・バックエンド」のバランスが魅力
フィジックスMは、ストームのフィジックスシリーズ第2弾として登場した名作です。
初代から受け継いだ、
アトミックコア × NRGハイブリッドリアクティブ
という強力な組み合わせをベースに、カバー配合と表面仕上げを変更。
その結果、
オイルへの対応力
スムーズな直進性能
中盤からの力強い転がり
バックエンドモーション
強烈なピンアクション
をバランスよく持ったボールに仕上がっています。
フィジックスシリーズは新作ばかり注目されがちですが、過去モデルを振り返ると「なぜフィジックスがここまで人気シリーズになったのか」がよく分かります。
フィジックスMも、その歴史を語るうえで外せない一球でしょう。
昔フィジックスMを投げていた人なら、今のフィジックスシリーズと比較してみるのもおもしろい。
そして中古などでフィジックスMを見かけて「どんなボールだったんだろう?」と思った人には、
「強い転がりを持ちながら、前へ進んでバックエンドでもしっかり動くフィジックス」
と覚えてもらうと、このボールの特徴をイメージしやすいと思います。



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