ジム・レーヤー『メンタル・タフネス』レビュー|本番で実力を出すための「心の鍛え方」

本・自己啓発

はじめに

「練習ではうまくいくのに、本番になると崩れてしまう」

スポーツを続けていると、こんな経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか。

私自身、ボウリングをしていて「今日は投球の感覚がいい」と思っていたのに、ミスをきっかけに突然スコアを崩してしまうことがあります。

技術が急に下手になったわけではありません。

それなのに、試合や大事な場面になると普段できていることができなくなる。

そんな「メンタル」の問題について深く考えさせられた一冊が、ジム・レーヤーの『メンタル・タフネス』です。

この本を読んで特に印象に残ったのは、

「メンタルの強さは、生まれ持った性格だけで決まるものではない」

という考え方でした。

メンタルは鍛えることができる。

そして、その考え方はボウリングにもかなり応用できると感じました。

今回は『メンタル・タフネス』を読んで感じたことを、ボウラー目線も交えながら紹介していきます。

『メンタル・タフネス』はどんな本?

ジム・レーヤーは、スポーツ心理学やパフォーマンスの分野で知られる人物です。

本書で扱われているのは、単純な「気合」や「根性」の話ではありません。

プレッシャーがかかった状況で、どうすれば自分の能力を発揮できるのか。

失敗したとき、どうやって気持ちを立て直すのか。

そして、高いパフォーマンスを安定して発揮するためには、どのような心の状態を作ればいいのか。

そうした「本番で力を出すためのメンタル」について考えられる内容になっています。

スポーツをしている人はもちろん、

  • 大事な試合になると緊張する
  • ミスを引きずりやすい
  • 感情の波が激しい
  • プレッシャーに弱いと感じている
  • 練習通りの力を試合で出したい

という人には、特に興味深い一冊だと思います。

メンタルが強い=緊張しない、ではない

以前の私は「メンタルが強い人は緊張しない」と思っていました。

でも、これは少し違うのかもしれません。

大事な試合なら緊張するのは当然です。

「絶対にストライクが欲しい」

「ここでミスしたら負ける」

そう思えば身体に力が入ることもあります。

重要なのは、緊張そのものをゼロにすることではなく、緊張している状態でも自分のパフォーマンスを発揮できることなのだと思います。

これはボウリングをしていると本当によく分かります。

緊張したからダメなのではありません。

緊張したときに、

「やばい、緊張してきた」

「外したらどうしよう」

と考え続けてしまうことで、普段とは違う投球になってしまう。

つまり問題なのは、緊張そのものよりも「緊張した自分にどう対応するか」なのです。

ミスした後の「次の1投」が重要

ボウリングは、メンタルの影響が非常に大きいスポーツだと思っています。

たとえば、簡単なスペアをミスしたとします。

問題はその1投だけではありません。

「なんで外したんだ……」

「さっきのスペアを取っていれば……」

「今日はもうダメかもしれない」

こうした考えを次のフレームまで持ち込んでしまうと、さらにミスが続くことがあります。

私も経験がありますが、こうなると悪循環です。

1回のミスが2回、3回と続いていきます。

逆にメンタルが安定していると、

「さっきの投球」と「これから投げる1球」を切り離す

ことができます。

ボウリングでは過去の投球をやり直すことはできません。

どれだけ悔しがっても、8フレームのミスを9フレームで取り消すことはできない。

だからこそ、

「次の1球で何をするか」

に意識を戻すことが大切なのだと感じます。

「結果」ではなく「自分ができること」に集中する

試合になると、どうしても結果を考えてしまいます。

「ストライクを出したい」

「200は打ちたい」

「この人には負けたくない」

「優勝したい」

もちろん目標を持つこと自体は悪いことではありません。

ただ、投球直前まで結果を考えてしまうと身体が固くなってしまうことがあります。

考えてみると、ボウラーが直接コントロールできるのは「ストライク」という結果ではありません。

自分でコントロールできるのは、

構える、狙う、助走する、スイングする、リリースする。

そこまでです。

ポケットに入った後にピンがどう倒れるかまで完全にコントロールすることはできません。

だから、

「絶対ストライク!」

よりも、

「いつも通り投げよう」

「狙ったスパットを通そう」

「最後まで腕を振り切ろう」

と考える。

この考え方は、試合で余計な力を抜くためにも役立つと感じています。

試合前の「ルーティン」を作る

本番で安定したパフォーマンスを発揮するためには、自分なりのルーティンを作っておくことも重要です。

ボウリングなら、

ボールを持つ

立ち位置を確認する

スパットを見る

一度呼吸を整える

構える

投球する

といった流れです。

毎回同じ動作を繰り返すことで、余計なことを考えにくくなります。

これはかなり大きいと思います。

特にプレッシャーがかかった場面では、頭の中にいろいろな考えが浮かんできます。

「外したらどうしよう」

「次ストライクなら勝てる」

「相手が見ている」

こうした雑念を完全になくすのは難しい。

だからこそ、考えないようにするのではなく、やることを決めておく。

ルーティンはそのためのスイッチになるのだと思います。

呼吸を整えるだけでも投球は変わる

個人的にボウリングで取り入れやすいと思うのが「呼吸」です。

緊張してくると呼吸が浅くなります。

すると身体にも力が入りやすくなります。

特にボウリングの場合、

肩に力が入る

スイングが小さくなる

リリースでボールを置きにいく

いつもの投球ができない

という流れになることがあります。

そんなときに一度ゆっくり息を吐く。

これだけでも気持ちを切り替えるきっかけになります。

「緊張するな」と自分に言い聞かせるより、

呼吸という具体的な行動に意識を向ける。

こちらのほうが実践しやすいと感じました。

メンタルも技術と同じように練習する

『メンタル・タフネス』を読んで、一番考え方が変わった部分です。

私たちはボウリングが上手くなりたいと思ったら練習します。

フォームを確認する。

スペアを練習する。

球速を安定させる。

ボールの軌道を見る。

オイルコンディションを読む。

ところがメンタルについては、

「本番になったら頑張る」

で済ませてしまいがちです。

でも、それでは安定しないのも当然なのかもしれません。

普段から、

「ミスした後にどう切り替えるか」

「投球前に何を考えるか」

「緊張したらどう呼吸するか」

「自分のルーティンは何か」

を練習しておく。

そう考えると、メンタルトレーニングもフォーム練習とそれほど変わりません。

「ゾーン」に入るためにも心の状態は重要

スポーツをしていると、

「今日は何も考えなくても身体が動く」

「狙ったところに自然と投げられる」

「周りの音が気にならない」

という瞬間があります。

いわゆる「ゾーン」に近い状態です。

ただ、

「ゾーンに入らなきゃ」

と考えて入れるものでもありません。

むしろ結果を意識しすぎず、目の前のプレーに集中できているときに、自然と高い集中状態になることがあります。

ボウリングでも同じです。

「あと○点で自己ベスト」

と気づいた瞬間、それまで自然だった投球が急にぎこちなくなる。

これはボウラーなら経験したことがある人も多いのではないでしょうか。

だからこそ、スコアではなく、

「今から投げる1球」

に集中する。

単純ですが、非常に大切なことだと思います。

メンタル・タフネスは「我慢する力」ではない

タイトルだけを見ると、

「どんなことにも耐える強靭な精神力を身につける本」

という印象を持つかもしれません。

しかし私が読んで感じた「メンタルの強さ」は少し違いました。

ミスしても何も感じない人になることではありません。

悔しいときは悔しい。

緊張するときは緊張する。

それでも、

自分の状態を把握して、必要な状態へ戻していく。

その能力こそが、競技における本当のメンタルの強さなのではないかと思います。

ボウラーが実践するなら、この4つから始めたい

この本を読んだ後、ボウリングで実践するなら私は次の4つから始めます。

① 投球前のルーティンを決める

毎回できるだけ同じ手順で投球する。

② ミスしたら一度呼吸を整える

ミスを分析することは必要ですが、投球直前まで引きずらない。

③ スコアを考えすぎない

「200打ちたい」ではなく「次の1球をしっかり投げる」。

④ 自分でコントロールできることに集中する

ピンアクションではなく、立ち位置・狙い・フォーム・リリースなど、自分が実行できることに意識を向ける。

全部を一度に実践する必要はないと思います。

まず一つだけ試してみる。

それだけでも試合中の考え方が少し変わってくるかもしれません。

『メンタル・タフネス』はこんな人におすすめ

この本は特に、

「練習ではできるのに、本番では実力を出せない」

と悩んでいる人に読んでほしい一冊です。

また、

  • 試合になると緊張してしまう人
  • 1回のミスを長く引きずってしまう人
  • 大事な場面で身体が固くなる人
  • 感情によってパフォーマンスが変わりやすい人
  • スポーツのメンタルトレーニングに興味がある人
  • ボウリングの大会で安定して投げたい人

にもおすすめできます。

逆に「読むだけですぐメンタルが強くなる」というタイプの本ではありません。

大切なのは、本から得た考え方を自分の競技に置き換えて実践することだと思います。

まとめ

メンタルは才能ではなく「鍛えるもの」

『メンタル・タフネス』を読んで改めて感じたのは、

技術だけを練習していても、本番でその技術を100%発揮できるとは限らない

ということです。

ボウリングなら、フォームやボール選び、オイルコンディションへの対応はもちろん重要です。

しかし試合では、それと同じくらい「心の状態」がスコアを左右することがあります。

10フレームでストライクが必要になったとき。

簡単なスペアをミスしてしまったとき。

相手が連続ストライクを出しているとき。

自己ベストが見えてきたとき。

そんな場面でも普段通り投げるためには、普段からメンタルも練習しておく必要があります。

過去の1球ではなく、次の1球に集中する。

個人的には、これが本書からボウリングに応用できる最も大切な考え方の一つだと感じました。

メンタルは「強い・弱い」で終わらせるものではありません。

フォームやスペアと同じように、少しずつ鍛えていくもの。

「練習では投げられるのに、試合になるとうまくいかない」

そんな悩みを持っているボウラーにとって、自分のメンタルと向き合うきっかけになる一冊だと思います。

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