はじめに
STORM(ストーム)の中でも、日本のボウラーから高い人気を集めてきた「フィジックス」シリーズ。
その中でも個人的にかなり面白い存在だと思うのが、**フィジックス・パワーエリート・プロモデル(PhysiX Power Elite Pro Model)**です。
フィジックスという名前を聞くと、
「大きく曲がるボール」
「アトミックコアの強烈なピンアクション」
「オイルに強いボール」
そんなイメージを持っている人も多いと思います。
しかし、フィジックス・パワーエリート・プロモデルは、ただ曲がりを追求したボールではありません。
むしろ魅力は、
「フィジックスらしい強さを残しながら、手前を走らせて奥でしっかり動かせること」
にあります。
今回はフィジックス・パワーエリート・プロモデルのスペック、曲がり方、適性コンディション、メリット・デメリット、どんなボウラーに向いているのかまで詳しく紹介します。
フィジックス・パワーエリート・プロモデルとは?
フィジックス・パワーエリート・プロモデルは、STORMから2022年に登場したフィジックスシリーズのボウリングボールです。
フィジックスシリーズ最大の特徴ともいえるアトミックコアを搭載しながら、カバーストックにはNRGプロパールリアクティブを採用。
つまり、
強いコア × パール系カバー
という組み合わせです。
この組み合わせが非常に重要。
強い非対称コアを搭載したボールの場合、カバーまで強くすると手前から噛みすぎてしまい、バックエンドに十分なエネルギーを残せないことがあります。
しかしプロモデルは、パールリアクティブによって手前の直進性を確保。
そのうえでアトミックコアの強さを利用し、ブレークポイントからしっかり向きを変えてくれます。
「強いけど走る」。
ここがこのボールの面白いところです。
フィジックス・パワーエリート・プロモデルのスペック
| 項目 | スペック |
| メーカー | STORM(ストーム) |
| ボール名 | フィジックス・パワーエリート・プロモデル |
| 英語表記 | PhysiX Power Elite Pro Model |
| カバーストック | NRG Pro Pearl Reactive |
| コア | Atomic Core(アトミックコア) |
| RG | 2.480(15ポンド) |
| ΔRG | 0.053(15ポンド) |
| MB差 | 0.017(15ポンド) |
| 表面仕上げ | 1500グリットポリッシュ |
| カラー | アクア/パープル |
| フレア | High |
| 主な適性 | ミディアム〜ミディアムヘビー |
| 発売時期 | 2022年11月頃 |
数字を見ても分かるように、かなり強力なコアです。
RG2.480という低い数値によって比較的早い段階から転がりやすく、ΔRG0.053によって十分なフレアも期待できます。
そこにMB差0.017を持つ非対称のアトミックコア。
単純に「奥だけで曲がるパールボール」ではありません。
手前を走りながら、内部ではしっかり転がっている。
この感覚がプロモデルの特徴だと思います。
フィジックス・パワーエリート・プロモデルの特徴
NRGプロパールリアクティブの特徴
このボールを語るうえで外せないのが、
NRGプロパールリアクティブ
です。
フィジックス・パワーエリート・プロモデルでは、新素材を採用したNRG系カバーが使われています。
狙っているのは、手前で必要以上に摩擦を起こさず、スムーズにブレークポイントまでボールを運ぶこと。
実際、このスペックを見るとプロモデルの方向性がかなり分かりやすいです。
フィジックスシリーズには「強い」というイメージがありますが、プロモデルの場合は、
強さ=手前から噛みまくる
ではありません。
むしろ、
手前 → スムーズ
中盤 → アトミックコアで安定
奥 → 強く方向転換
ピン前 → エネルギーを残して入射
という流れを作りやすいボールです。
特に「強いボールが欲しいけど、手前で噛みすぎるボールは苦手」という人には魅力的な性能だと思います。
アトミックコアはやっぱり強い
フィジックスシリーズを象徴する存在が、
Atomic Core(アトミックコア)
です。
15ポンドでRG2.480、ΔRG0.053という数値を持つ強力な非対称コア。
フィジックスシリーズを投げたことがある人なら分かると思いますが、このシリーズは単純な横方向の曲がり以上に、
転がりながらピンへ向かっていく強さ
が魅力です。
プロモデルでもこの特徴は健在。
パールカバーだからといってスキッド一辺倒になるわけではなく、中盤から徐々にコアが存在感を出してきます。
そのため、
「走っているだけで頼りない」
という印象になりにくい。
手前の走りとコアの強さを両立しているところが、フィジックスらしい部分です。
実際の曲がり方をイメージすると?
フィジックス・パワーエリート・プロモデルの軌道を大まかに表現すると、
走る → 転がる → 強く向きを変える
というタイプです。
特に注目したいのがブレークポイント。
パール系ボールらしく手前を比較的スムーズに通過しますが、外に出した瞬間に急激に暴れるだけのボールではありません。
アトミックコアが中盤からしっかり仕事をしているため、
「奥で動くけど、動き方に芯がある」
という印象です。
これが弱いコアのパールボールとの大きな違い。
単純にカバーの摩擦だけで方向転換するのではなく、コアの転がりを利用してポケットへ向かってくれるので、ピンヒット時にもエネルギーが残りやすい設計です。
一番魅力を感じるのはピンアクション
フィジックスシリーズを選ぶ理由として、やはり外せないのがピンアクションです。
多少薄めに入ったとき。
少し厚めに入ってしまったとき。
「これは残ったかな?」
と思ったところからピンが倒れる。
フィジックスシリーズには、こうした期待感があります。
プロモデルもアトミックコアを搭載しているため、ポケットへ入ったときの力強さは大きな魅力です。
もちろんボウリングボールなので、投げれば何でも倒れるわけではありません。
しかし、
「ポケットへ運んだあとの仕事をしてくれるボール」
という表現はかなり合っていると思います。
ミディアム〜ミディアムヘビーで使いやすい
フィジックス・パワーエリート・プロモデルが最も使いやすいのは、
ミディアム〜ミディアムヘビー
あたりでしょう。
ある程度オイルがある状態で、手前を走らせながらブレークポイントでしっかり摩擦を感じさせる使い方が合います。
例えば、
朝一番のコンディションから少しゲームが進んだ状態。
ソリッド系の強いボールでは手前が噛み始めた状態。
しかし、弱いパールまで落とすと奥で安定しない。
そんな場面です。
この「強いソリッドと弱めのパールの間」を埋めてくれるのがプロモデルの魅力。
バッグの中でも意外と出番を作りやすいポジションだと思います。
得意なコンディション
オイルが削れてきたときにも面白い
個人的に注目したいのはこちら。
フィジックス・パワーエリート・プロモデルは、単純なフレッシュ専用ボールではないということです。
ゲームが進んで手前のオイルが削れてくると、強いソリッド系ボールでは早く立ち上がりすぎることがあります。
そこでプロモデル。
パールカバーを活かして手前を通過させながら、奥ではアトミックコアによって十分な動きを作れる。
つまり、
「強いボールから一段下げたい。でも弱くしすぎたくない」
というタイミングで使いやすい。
大会で複数個ボールを持ち込む人にとっては、かなり便利なポジションになり得ます。
逆に苦手そうなコンディション
万能に見えるプロモデルですが、当然苦手な状況もあります。
まず、極端なヘビーオイル。
パールカバーなので、オイル量が非常に多い場合にはブレークポイントまで滑りすぎる可能性があります。
こういう状況では、強いソリッドカバーを搭載したボールのほうが安心でしょう。
反対に、かなりドライになったコンディションでも注意が必要。
手前は走ってくれても、アトミックコア自体がかなり強いため、ドライゾーンに触れた瞬間の動きが大きくなりすぎる場合があります。
そのため、
ヘビー専用でもなければ、ドライ専用でもない。
やはり中心になるのはミディアム前後です。
パワーエリート・ブルーとの違い
フィジックス・パワーエリートシリーズで比較したくなるのが、
フィジックス・パワーエリート・ブルー
です。
ブルーはR3Sパールリアクティブを採用していました。
一方、プロモデルはNRGプロパールリアクティブ。
コアはいずれもアトミックコアなので、基本となる転がりの強さはフィジックスらしさがあります。
しかしカバーが違うため、レーン上での摩擦の感じ方が変わります。
プロモデルは単純な「ブルーの色違い」ではありません。
アトミックコアの強さを、NRGプロパールでどう活かすか。
ここにプロモデル独自の面白さがあります。
実はプロの大会でも結果を残している
フィジックス・パワーエリート・プロモデルを語るうえで面白い実績があります。
2022年の「HANDA CUP 第56回全日本プロボウリング選手権大会」では、藤井信人プロが優勝ボールとしてフィジックス・パワーエリート・プロモデルを使用しています。
さらに2023年には、秋光楓プロが同ボールを使用して公認800シリーズを達成。
単なる人気シリーズの派生モデルではなく、実際の競技シーンでも結果が残っているボールです。
もちろんプロが結果を出したから誰でも打てるわけではありません。
それでも、高いレベルの競技コンディションで選択肢になった事実は、このボールのポテンシャルを考えるうえで興味深いポイントでしょう。
フィジックス・パワーエリート・プロモデルのメリット
実際に性能を整理すると、強みはかなり明確です。
① 手前を走らせやすい
強力なアトミックコアを搭載しながら、パールカバーによって手前の走りを確保できます。
② 中盤が頼りないボールではない
単純な走り系パールではありません。
低RGのアトミックコアが転がりを作るため、中盤でもボールの存在感があります。
③ バックエンドが強い
手前でエネルギーを使いすぎないため、ブレークポイントからしっかり方向転換してくれます。
④ ピンアクションに期待できる
アトミックコアを搭載したフィジックスシリーズらしい魅力。
ポケットへ入ったときの力強さは大きな武器になります。
⑤ 使える場面が比較的広い
ミディアム〜ミディアムヘビーを中心に、レーン変化にも対応させやすいタイプです。
フィジックス・パワーエリート・プロモデルのデメリット・注意点
一方で、購入前に知っておきたい部分もあります。
オイルが多すぎると滑る可能性がある
NRGとはいえパールリアクティブ。
大量のオイルがあるコンディションでは、より強いソリッド系が必要になることがあります。
ドライではコアが強すぎる
走るからといってドライ用ではありません。
アトミックコアは強力なので、摩擦が強いレーンでは扱いづらくなる可能性があります。
「曲がるボール=プロモデル」と考えると少し違う
このボールの良さは曲がり幅だけではありません。
走り・転がり・バックエンド・ピンアクションのバランス
に価値があります。
こんなボウラーにおすすめ
フィジックス・パワーエリート・プロモデルは、特に次のような人におすすめです。
- フィジックスシリーズが好き
- アトミックコアのピンアクションが好き
- 強いボールでも手前は走らせたい
- ソリッド系だと手前で噛みすぎることがある
- 奥の動きが欲しい
- ミディアム〜ミディアムヘビー用を探している
- 大会用のボールラインナップを増やしたい
- 強いパール系ボールを探している
特に、
「パールらしい走りは欲しい。でもボール自体を弱くしたくない」
という人には非常に面白い選択肢です。
初心者にもおすすめできる?
個人的には、完全な初心者向けというより、
ある程度自分の球質やラインが分かってきた中級者以上
におすすめしたいボールです。
理由はアトミックコアの強さ。
性能が高い反面、レーンが乾いているときには動きが大きくなりやすく、ボール選択やライン取りが重要になります。
初めてマイボールを購入するなら、もう少し穏やかなボールのほうが扱いやすいでしょう。
逆に、
「次はもっと強いボールが欲しい」
「大会でも使えるボールを追加したい」
という段階なら候補に入ってきます。
現在でも使う価値はある?
発売から時間が経ったボールですが、個人的には今でも十分使う価値があるモデルだと思います。
ボウリングボールは新製品が毎月のように登場します。
そのため、どうしても「新しい=性能が高い」と考えてしまいがち。
しかし実際には、レーンコンディションと自分の球質に合っているかのほうが重要です。
フィジックス・パワーエリート・プロモデルには、
NRGプロパール × アトミックコア
という明確な個性があります。
この組み合わせが自分の欲しい動きにハマるなら、発売年だけを理由に選択肢から外す必要はありません。
むしろ中古市場などで状態の良い個体を見つけた場合、検討してみても面白いボールでしょう。
フィジックス・パワーエリート・プロモデルの総合評価
| 性能 | 評価 |
| 手前の走り | ★★★★★ |
| 中盤の安定感 | ★★★★☆ |
| バックエンド | ★★★★★ |
| 曲がり幅 | ★★★★☆ |
| ピンアクション | ★★★★★ |
| 扱いやすさ | ★★★★☆ |
| オイルへの強さ | ★★★★☆ |
| レーン変化への対応 | ★★★★☆ |
| 総合評価 | ★★★★★ |
※評価はボールの特性を分かりやすく表現した目安です。球速・回転数・レイアウト・表面状態・レーンコンディションによって実際の動きは変化します。
まとめ
フィジックスの「強さ」とパールの「走り」を両立した一球
フィジックス・パワーエリート・プロモデルを一言で表現するなら、
「アトミックコアの強さを、パールカバーで最大限活かしたフィジックス」
ではないでしょうか。
NRGプロパールリアクティブによって手前をスムーズに走らせる。
中盤からアトミックコアが転がりを作る。
そしてブレークポイントから力強く方向転換し、エネルギーを残した状態でポケットへ入っていく。
単純に大きく曲がるだけではありません。
走り・転がり・キレ・ピンアクション。
この4つのバランスがフィジックス・パワーエリート・プロモデル最大の魅力です。
特に「強いソリッドでは手前が苦しくなってきた。でも弱いパールまで落としたくない」という場面では、このボールの存在が非常に頼もしく感じられるでしょう。
発売から時間が経っても、フィジックスシリーズの中で語る価値がある一球。
フィジックスらしいピンアクションが好きな人なら、一度は投げてみたくなるモデルです。



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