はじめに
STORMのフィジックスシリーズの中でも、今なお名前が挙がることの多い名作が**「アストロフィジックス(AstroPhysiX)」**です。
アストロフィジックスの魅力を一言で表すなら、
「手前を気持ちよく走り、奥で鋭く向きを変えながら、非対称コアらしい強さも感じられるボール」
ではないでしょうか。
単純に「よく曲がるパール」というだけではありません。
R2Sパールリアクティブとアトミックコアという組み合わせによって、
走り・キレ・転がり・ピンアクション
を高いレベルでまとめているのがアストロフィジックスの大きな特徴です。
今回は、そんなアストロフィジックスについて、スペックだけでは分かりにくい実際のボールリアクションや使いやすいレーンコンディション、向いているボウラーまで詳しく解説していきます。
アストロフィジックスとは?
アストロフィジックスはSTORMから2019年に登場したフィジックスシリーズのボウリングボールです。
初代フィジックスがオイルに対する強さや安定感を重視したボールだったのに対し、アストロフィジックスではカバーストックにR2Sパールリアクティブを採用。
これによってフィジックスシリーズの強力なコア性能を活かしながら、レーン手前での走りとバックエンドでの鋭い動きを強調したボールになっています。
「強い非対称コア=手前から噛んで重たい動き」
というイメージを持っている人もいるかもしれません。
しかし、アストロフィジックスは少し違います。
強いコアを持っているのに、走らせやすい。
ここがこのボールの面白いところです。
アストロフィジックスのスペック
| 項目 | スペック |
| メーカー | STORM |
| ボール名 | アストロフィジックス |
| カバーストック | R2S パールリアクティブ |
| コア | アトミックコア |
| コアタイプ | 非対称コア |
| RG | 2.480(15lbs) |
| ΔRG | 0.053(15lbs) |
| マスバイアス差 | 0.017(15lbs) |
| フレア | High |
| 表面仕上げ | 1500グリットポリッシュ |
| カラー | シアン/インディゴ/チャコール |
| フレグランス | Plum Nectar |
| 発売 | 2019年 |
15ポンドでRG2.480、ΔRG0.053という数値を見ると、コア自体はかなり強力です。
低いRGによって比較的早い段階から回転を立ち上げやすく、0.053という高いΔRGによって大きなフレアを作り出します。
そこへ走りを出しやすいR2Sパールを組み合わせています。
つまり、
「中身は強い。しかし表面は走る」
という組み合わせです。
このバランスこそがアストロフィジックスを語るうえで非常に重要になります。
アストロフィジックスの特徴
R2Sパールが生み出す抜群の走り
アストロフィジックスを特徴付けている最大のポイントのひとつが、
R2Sパールリアクティブ
です。
R2S系のカバーはSTORMを代表する素材のひとつで、ハイロードなどにも採用されてきました。
特徴はレーン手前で余計なエネルギーを消費しにくいこと。
アストロフィジックスでも、この特徴が非常によく表れています。
投げた瞬間からガツガツ噛んでいくというより、
スーッとオイルゾーンを通過していく感覚。
そしてブレイクポイント付近までエネルギーを残し、ドライゾーンに触れたところから一気に方向転換します。
そのため、
「強いボールを使いたいけれど、手前で噛みすぎるのは嫌」
という状況で非常に面白い選択肢になります。
アトミックコアはかなり強力
アストロフィジックスにはアトミックコアが搭載されています。
15ポンドで、
RG:2.480
ΔRG:0.053
マスバイアス差:0.017
という数値。
低RG・高ΔRG・非対称という、かなり存在感のあるコアです。
R2Sパールだけを見ると「走ってキレるボール」という印象が強くなりますが、アストロフィジックスが単純なスキッド・スナップ系で終わらない理由がこのコアにあります。
レーン手前ではカバーが走りを作り、
中盤以降ではアトミックコアがしっかり回転を立ち上げ、
ブレイクポイントから大きな方向転換を作る。
この役割分担が非常に面白いのです。
実際の軌道イメージ
アストロフィジックスの軌道を簡単に表現すると、
走る → 中盤から立ち上がる → 奥で強く向きを変える
というイメージです。
個人的に特に注目したいのがブレイクポイントからの動き。
パール系ボールらしい鋭さがあります。
ただし、軽いコアのボールがドライに触れて急激に跳ね返るような動きとは少し違います。
アトミックコアがしっかり回転しているため、
「鋭いのに力強い」
という表現が合います。
外へ膨らませたラインからポケットへ戻してくるようなラインを好むボウラーにとって、この動きはかなり魅力的でしょう。
アストロフィジックスの最大の魅力は「奥の強さ」
このボールを投げる楽しさを感じやすいのは、やはりバックエンドです。
レーン手前でエネルギーを温存しながら進み、ブレイクポイントに到達すると強烈に向きを変える。
そのため内側へ移動して、
オイルのある場所を長く使って外へ出すライン
との相性が良いです。
レーンが変化して手前が削れてきたときにも、表面の強いソリッド系ボールでは手前から噛みすぎることがあります。
そんなとき、
「手前は走ってほしい。でも奥の動きは弱くしたくない」
という要求に応えやすいのがアストロフィジックスです。
ピンアクションも魅力
ボウリングボールは曲がれば良いというものではありません。
重要なのは、
ポケットへ入ったときにどれだけエネルギーを残せているか。
アストロフィジックスは手前で必要以上にエネルギーを使いにくいため、ピンヒット時にも力強さを感じやすいボールです。
特にしっかり外へ出して戻してきたときのピンアクションは魅力的。
薄めからピンを飛ばすようなストライクや、ポケットへ鋭角に入ったときの派手なピンアクションは、アストロフィジックスを使う楽しさのひとつでしょう。
どんなレーンコンディションで使いやすい?
アストロフィジックスを最も活かしやすいのは、
ミディアムコンディション前後
だと考えます。
特に使いやすいのが、
・ある程度オイルが残っている
・手前は少し削れている
・奥には反応する場所がある
・内側へ移動して角度を付けたい
といった状況です。
新品のオイルがたっぷり入ったコンディションでは、R2Sパールが走りすぎてブレイクポイントまで滑ってしまう可能性があります。
反対にドライすぎるコンディションでは、アトミックコアの強さとバックエンドリアクションが過敏になる場合があります。
そのため個人的には、
「フレッシュ専用」ではなく「少しレーンが変化してきたところから強いボール」
という位置付けで考えると分かりやすいと思います。
アストロフィジックスが特に面白くなる場面
例えばゲーム序盤に表面の強いボールを使用していたとします。
ゲームが進むにつれて手前のオイルが削れ、
「さっきまで良かったボールが手前から噛むようになってきた」
という経験はありませんか?
そこで立ち位置を内側へ移動しても、強いソリッドでは手前の摩擦を拾ってしまう。
こんなときにアストロフィジックスのような走るパール系非対称ボールが活躍します。
内側のオイルを利用して走らせ、
外側のドライゾーンへ送り、
そこから一気にポケットへ戻す。
アストロフィジックスらしい豪快なラインを作りやすくなります。
逆に苦手なコンディションは?
万能に見えるアストロフィジックスですが、もちろん苦手な状況もあります。
特に注意したいのが、
オイル量が非常に多いコンディション。
R2Sパールは走りの良いカバーなので、オイル量が多すぎるとブレイクポイントで十分な摩擦を得られず、抜けてしまうことがあります。
また、極端なショートコンディションやドライレーンでは、奥の反応が強く出すぎる可能性があります。
アストロフィジックスは、
「どんなレーンでも使える万能ボール」というより、条件がハマったときに圧倒的な気持ち良さを感じられるボール
だと思います。
フィジックスとの違い
初代フィジックスとアストロフィジックスの大きな違いはカバーストックです。
フィジックスではNRGハイブリッドリアクティブが使用されていましたが、アストロフィジックスではR2Sパールリアクティブを採用しています。
そのためフィジックスの方が中盤のオイルを読みやすく、アストロフィジックスの方が手前を走らせてバックエンドで動かしやすい性格です。
使い分けを簡単に考えるなら、
フィジックス
→ オイルがある状態から安定して使いたい
アストロフィジックス
→ 手前を走らせて奥の動きを出したい
というイメージです。
同じアトミックコアを使用していても、カバーストックによってこれだけ性格を変えられるのがボウリングボールの面白いところですね。
アストロフィジックス2との違いは?
アストロフィジックスを調べていると、現在では「アストロフィジックス2」も見つかります。
基本設計はかなり近く、
R2Sパールリアクティブ
+
アトミックコア
という組み合わせは共通しています。
大きな違いのひとつが表面仕上げ。
初代アストロフィジックスは1500グリットポリッシュ。
アストロフィジックス2はリアクタグロス仕上げになっています。
初代の完成度が非常に高かったからこそ、そのコンセプトを大きく変更せず復活したモデルと考えると、アストロフィジックスというボールの評価の高さが分かります。
こんなボウラーにおすすめ
アストロフィジックスは特に、
・パール系の走りが好き
・奥でしっかり曲がってほしい
・非対称コアの強さが欲しい
・内側から外へ出すラインを使いたい
・レーン変化後に使える強いボールが欲しい
・ピンアクションを重視したい
というボウラーと相性が良いでしょう。
特に回転量がある人や、ある程度ボールに角度を付けて投げるタイプには非常に面白いボールだと思います。
初心者でも使える?
初心者が絶対に使えないボールではありません。
ただし、個人的には完全な初心者向けボールとは考えていません。
理由はバックエンドリアクションの強さです。
投球が安定していない段階では、
「さっきは曲がったのに今度は抜けた」
というように感じる可能性があります。
これはボールが悪いのではなく、投球位置・球速・回転・オイル量によってR2Sパールの反応が変わるためです。
ある程度ボールを投げ分けられるようになり、
「走るパールを使う意味」
が分かってきた頃に使うと、アストロフィジックスの良さをより感じやすいでしょう。
アストロフィジックスの評価
個人的な性能イメージを5段階で表すなら、
| 性能 | 評価 |
| 手前の走り | ★★★★★ |
| 中盤のキャッチ | ★★★☆☆ |
| バックエンド | ★★★★★ |
| ピンアクション | ★★★★★ |
| オイルへの強さ | ★★★☆☆ |
| 扱いやすさ | ★★★★☆ |
| レーン変化への対応 | ★★★★★ |
※上記はスペック・設計特性をもとにした当ブログ独自の目安です。レイアウト、表面状態、球速、回転数、レーンコンディションによってリアクションは変化します。
このボールは「とにかくオイルに強いボール」ではありません。
評価したいのは、
強力なコアを搭載しながら、ここまで気持ちよく走りとキレを作ったこと。
ここにアストロフィジックスの価値があると思います。
アストロフィジックスは今でも通用する?
発売から時間が経過したボールを見ると、
「昔のボールだから、現在のボールより性能が低いのでは?」
と思う人もいるかもしれません。
しかし、ボウリングボールは新しいほど必ず優れているというものではありません。
重要なのは自分の投球とレーンコンディションに合うかどうかです。
R2Sパールの走りとアトミックコアの強さという組み合わせは非常に分かりやすく、現在でも十分魅力があります。
むしろ最近の非常に強いカバーストックでは手前から噛みすぎるような状況で、R2Sパールの扱いやすい走りが武器になることもあるでしょう。
まとめ
アストロフィジックスは「走りとキレ」を楽しめるフィジックス
アストロフィジックスは、
R2Sパールリアクティブ × アトミックコア
という組み合わせによって、フィジックスシリーズらしいコアの強さを残しながら、手前の走りとバックエンドリアクションを強調したボールです。
最大の魅力は、
手前でエネルギーを温存し、ブレイクポイントから一気にポケットへ向かってくる動き。
特にレーンが変化して手前が削れ、強いソリッド系では走らせにくくなってきた場面で、その性能を発揮しやすくなります。
アストロフィジックスは単に「昔人気だったボール」ではありません。
走り、キレ、コアの強さ、ピンアクション。
それぞれのバランスが非常に良く、
「パール系非対称ボールの面白さ」を分かりやすく体感できる一球
と言えるでしょう。
アストロフィジックス2としてコンセプトが復活したことからも、初代の完成度と人気の高さがうかがえます。
中古市場などで状態の良いアストロフィジックスを見つけたなら、今でも投げてみる価値のある名作です。


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