STORM ASTROPHYSIX(アストロフィジックス)レビュー|名作と呼ばれる理由を徹底解説

ストーム

STORM(ストーム)の歴代ボウリングボールの中でも、今なお名前を聞く機会が多いボールがあります。

それが、

「アストロフィジックス(ASTRO PHYSIX)」

です。

フィジックスシリーズを象徴する「アトミックコア」に、STORMを代表する「R2Sパールリアクティブ」を組み合わせたモデル。

筆者も実際にアストロフィジックスを投げた経験があります。

発売から時間が経った現在でもアストロフィジックスが語られる理由は、単純に「よく曲がるから」だけではないと思っています。

手前の走り。

アトミックコアによる転がり。

バックエンドでの動き。

そして、それぞれの性能のバランス。

今回はメーカー公表スペックと筆者自身の実投経験を踏まえながら、

「アストロフィジックスはどんなボールなのか?」

「なぜR2Sパールとアトミックコアの組み合わせが評価されたのか?」

「どんなコンディションで使いやすいのか?」

「なぜ後にアストロフィジックスIIまで登場したのか?」

を詳しく解説していきます。

アストロフィジックスとは?

アストロフィジックスは、STORMから2019年5月に発売されたフィジックスシリーズのボウリングボールです。

カバーストックには、

R2Sパールリアクティブ

を採用。

コアには、

アトミックコア

を搭載しています。

フィジックスシリーズにはNRG系の強いカバーを採用したモデルも多く存在します。

その中でアストロフィジックスは、R2Sパールを組み合わせることで、

「フィジックスの強いコアを走らせる」

という非常に面白い性格を持ったモデルになっています。

これがアストロフィジックスを理解するうえで、ひとつの大きなポイントです。

アストロフィジックスのスペック

項目スペック
メーカーSTORM(ストーム)
ボール名アストロフィジックス
カバーストックR2Sパールリアクティブ
コアアトミックコア
コアタイプ非対称
RG2.480(15ポンド)
ΔRG0.053(15ポンド)
マスバイアス差0.017(15ポンド)
フレア6インチ以上
硬度73〜75
表面仕上げ1500グリット・ポリッシュ
カラーシアン/インディゴ/チャコール
重量12〜16ポンド
フレグランスプラム・ネクター
適性コンディションミディアム
発売2019年5月

15ポンドでは、

RG:2.480
ΔRG:0.053
マスバイアス差:0.017

となっています。

フレアも6インチ以上。

内部にはフィジックスらしい強力な非対称コアが入っています。

しかしカバーはR2Sパール。

さらに1500グリット・ポリッシュ仕上げです。

つまり、

強いコア+走りを作りやすいパールカバー

という、役割のはっきりした組み合わせです。

R2Sパールリアクティブとは?

アストロフィジックスを語るうえで外せないのが、

R2Sパールリアクティブ

です。

R2SはSTORMを代表するカバーストックのひとつ。

アストロフィジックスでは、そのパールタイプを採用しています。

フィジックスシリーズには強いカバーストックを搭載したモデルが多くありますが、アストロフィジックスはR2Sパールを組み合わせることで、レーン手前の直進性を作っています。

ここで大切なのが、

「カバーが強いほど高性能」というわけではない

ということです。

カバーを強くすれば、オイルへの対応力を高めることはできます。

しかし手前のオイルが少なくなれば、早い段階から摩擦が発生してしまう可能性もあります。

反対にカバーを弱くすれば、手前を走らせやすくなります。

アストロフィジックスは、

R2Sパールによって手前を走らせ、強いアトミックコアを中盤以降で働かせる。

この役割分担が非常に面白いボールです。

アトミックコアを搭載

コアには、フィジックスシリーズを代表する「アトミックコア」が搭載されています。

15ポンドで、

RG:2.480
ΔRG:0.053
マスバイアス差:0.017。

フレアは6インチ以上です。

アストロフィジックスを「ただの走るパール」にしていない最大の理由が、このアトミックコアだと思います。

カバーはR2Sパールなので直進性を出しやすい。

しかし中には強い非対称コアが入っています。

そのため、

カバーだけを見ると走り系、コアを見るとかなり強い。

この一見すると対照的な組み合わせが、アストロフィジックス独特のボールモーションにつながっています。

なぜ「弱めのカバー+強いコア」が面白いのか?

個人的に、アストロフィジックスで最も面白いと思っている部分です。

ボウリングボールを強くする方法として、

「強いカバー+強いコア」

という考え方があります。

オイル量が多いコンディションでは非常に有効です。

しかし、ボールを強くすればするほど、すべてのコンディションで使いやすくなるわけではありません。

そこでアストロフィジックスは、

カバーで走らせて、コアで転がす。

という役割分担を作っています。

R2Sパールによって必要な場所まで進む。

そこからアトミックコアが存在感を出す。

だからこそ、

「手前は楽だけど、奥で頼りない」

という単純な弱いパールとは違った魅力が生まれたのではないでしょうか。

1500グリット・ポリッシュ仕上げ

アストロフィジックスの表面仕上げは、

1500グリット・ポリッシュ

です。

後継のアストロフィジックスIIではリアクタグロスが採用されていますが、初代は1500グリット・ポリッシュ。

R2Sパールとポリッシュ仕上げによって、レーン手前のスムーズな直進性を作っています。

ここでも、

手前でエネルギーを使いすぎない

という設計思想が見えてきます。

ただし、走らせるだけではありません。

内部にはアトミックコアがあります。

手前をスムーズに進ませながら、中盤以降では強いコアを働かせる。

この組み合わせが初代アストロフィジックスの大きな特徴です。

アストロフィジックスは「走ってキレる」だけなのか?

アストロフィジックスについて調べると、

「走り」

「キレ」

という言葉がよく出てきます。

実際、メーカーもブレークポイントからの鋭い動きを大きな特徴として紹介しています。

しかし筆者としては、

単純なスキッド・スナップ系ボールとして考えるだけでは、アストロフィジックスの魅力を十分に説明できない

と思っています。

重要なのは、

走ったあとにアトミックコアが仕事をすること。

です。

ただ滑って奥で反応するのではなく、強いコアによる転がりを伴いながらブレークポイントへ向かう。

だからこそ、バックエンドで大きな動きを作りながらも「ボールが抜けていく」という不安を抑えやすい設計になっているのだと思います。

筆者の考察|アストロフィジックス最大の魅力は「カバーとコアの役割分担」

筆者はアストロフィジックスを実際に投げた経験があります。

そのうえで、改めてスペックを確認して感じるのが、

アストロフィジックスはカバーとコアの役割分担が非常に分かりやすいボール

だということです。

R2Sパールには、

「必要な場所までボールを進める」

という役割。

アトミックコアには、

「転がりを作ってボールを立ち上げる」

という役割。

そしてブレークポイントからポケットへ向かう。

この流れがアストロフィジックスの魅力だと思っています。

パールだから走る。

フィジックスだから転がる。

その両方をうまく成立させたことが、アストロフィジックスが長く評価された理由のひとつではないでしょうか。

「走る」と「滑る」は違う

アストロフィジックスを考えるうえで、筆者が重要だと思っているのが、

「走る」と「滑る」は違う

ということです。

弱いボールをオイル量の多い場所へ投げれば、手前は簡単に進みます。

しかし、必要な場所まで来てもボールが立ち上がらなければ、それは単純に滑っているだけかもしれません。

一方で、

手前では余計な摩擦を起こさない。

中盤から転がりを作る。

ブレークポイントで向きを変える。

そしてピンへ向かう。

これがボウリングで求めたい「走り」です。

アストロフィジックスはR2Sパールの直進性とアトミックコアの強さを組み合わせることで、

「走るけれど、必要な場所では仕事をする」

という性能を狙ったボールだと考えています。

実際に投げた経験から感じるアストロフィジックスの魅力

筆者はアストロフィジックスを実際に投げたことがあります。

だからこそ感じるのは、このボールを単純に、

「奥でよく曲がるボール」

だけで終わらせるのはもったいないということです。

アストロフィジックスの魅力を考えるときに重要なのは、

走りと転がりのバランス。

です。

R2Sパールによる直進性がありながら、アトミックコアによってボールの存在感が消えない。

パール系のフィジックスに求めたい性能が、非常に分かりやすくまとめられています。

もちろんボールリアクションは投球スタイルやレイアウト、オイルコンディションによって変化します。

そのため、

「筆者が良かったから誰が投げても同じ」

とは考えていません。

それでも、発売から時間が経ってもアストロフィジックスの名前が残っていることには理由があると思います。

プロボウラーからも非常に高く評価された

アストロフィジックスは、プロボウラーからも非常に高い評価を受けたモデルです。

発売当時、ハイスポーツ契約プロ69名を対象に行われたお気に入りボールランキングでは、

114ポイントを獲得して1位。

プロからは、

・走り
・転がり
・バックエンド
・曲がり幅
・安定感
・ピンアクション
・幅広い使いやすさ

といった部分が評価されています。

特に興味深いのが、

「走るのにコアで止まる」

という方向の評価です。

これはまさに、

R2Sパール×アトミックコア

というアストロフィジックスの設計を象徴していると思います。

なぜこれほど人気になったのか?

筆者が考える理由は、

性能が分かりやすかったこと

だと思います。

オイルに強いボールが欲しければ、強いソリッドを選ぶ。

ドライになれば弱いボールへ変更する。

しかし実際のボウリングでは、その中間にあるコンディションが非常に多くあります。

「強いボールでは手前が早い」

でも、

「弱いボールでは奥まで滑る」。

そんなときに、

R2Sパールで走らせながら、アトミックコアで転がす。

アストロフィジックスの組み合わせは非常に合理的です。

さらにバックエンドの動きも出しやすい。

使える場面の広さと、投げていて感じられる性能の気持ちよさ。

この両方が人気につながったのではないでしょうか。

ミディアムコンディションで使いたい

メーカー公表の適性コンディションは、

Medium(ミディアム)

です。

これはアストロフィジックスの特徴を考えても納得しやすいところです。

ヘビーオイル専用というほどカバーは強くありません。

一方、ドライ専用というほど弱いボールでもありません。

筆者としては、

ある程度オイルがありながら、レーン手前ではボールをスムーズに進めたい場面

で使いたいタイプです。

特に、強いソリッドでは手前から噛みすぎる。

でも弱いボールへ落とすにはまだ早い。

そんな状況でアストロフィジックスの役割が見えてきます。

レーン変化にも対応しやすい理由

ゲームが進むと、レーン手前のオイルは徐々に削られていきます。

最初に使っていた強いソリッドが早く感じる。

しかし、まだ中盤にはオイルが残っている。

そこで弱すぎるボールへ変更すると、今度はオイル部分で抜けてしまう。

この難しいタイミングで、

R2Sパール×アトミックコア

という組み合わせは非常に面白い存在です。

手前はパールで進ませる。

しかし中盤からは強いコアで転がす。

アストロフィジックスは、こうしたボールチェンジの選択肢としても考えやすいモデルだと思います。

外から投げるだけのボールではない

「走ってキレるボール」と聞くと、外のドライへ出して戻すラインを想像する人もいるでしょう。

しかしアストロフィジックスは、それだけではありません。

強いアトミックコアが入っているため、

内側から幅を取るライン

も選択肢になります。

実際、発売当時のプロ評価でも、大きく外へ出しても戻ってくる曲がり幅や、内外のミスに対する扱いやすさが評価されていました。

単純なドライ用パールではなく、

ライン取りの自由度を作りやすいパール系フィジックス

という見方もできます。

アストロフィジックスIIが登場したことも初代の評価を物語っている

初代アストロフィジックス発売から約5年後の2024年、

アストロフィジックスII

が登場しました。

しかもIIでも、

R2Sパールリアクティブ
+
アトミックコア

という初代の基本構成を継承しています。

15ポンドのRG、ΔRG、マスバイアス差も同じです。

大きな違いのひとつが表面仕上げ。

初代は、

1500グリット・ポリッシュ。

IIでは、

リアクタグロス。

となっています。

メーカー自身も初代の完成度の高さと再販を求める声について触れており、そのコンセプトをベースにIIを設計しています。

初代発売から数年後に、ほぼ同じ基本コンセプトの後継モデルが登場したこと自体、アストロフィジックスの評価を象徴しているように感じます。

アストロフィジックスとアストロフィジックスIIの違い

基本スペックを比較すると非常に似ています。

比較項目アストロフィジックスアストロフィジックスII
カバーR2SパールR2Sパール
コアアトミックコアアトミックコア
RG(15lb)2.4802.480
ΔRG(15lb)0.0530.053
マスバイアス差0.0170.017
表面仕上げ1500グリット・ポリッシュリアクタグロス
適性ミディアムミディアム

基本設計はかなり近いモデルです。

だからこそ、初代を使った経験がある人ならIIも気になるでしょう。

筆者としても、

同じR2Sパール×アトミックコアで、表面仕上げの違いが実際のボールモーションへどの程度影響するのか

は非常に興味深いポイントだと思っています。

どんなボウラーに向いている?

アストロフィジックスは、

・フィジックスシリーズが好きな人
・R2Sパールが好きな人
・アトミックコアの転がりを活かしたい人
・ミディアムコンディションを中心に投げる人
・レーン手前の走りが欲しい人
・奥でしっかり向きを変えてほしい人
・強いソリッドでは手前が苦しくなる人
・弱いパールではオイル上で不安な人
・ある程度幅を取って投げたい人
・走りと転がりを両立したい人

などには、非常に興味深いボールです。

ただし、同じアストロフィジックスでも球速、回転数、回転軸、PAP、レイアウト、表面状態によってリアクションは変わります。

自分に合うかどうかは、ボール名だけではなく自分の球質とレーンコンディションを合わせて判断することが重要です。

逆に向いていない可能性がある場面

アストロフィジックスにも得意・不得意があります。

例えば、

・オイル量が非常に多いヘビーコンディション
・手前から強いトラクションが必要
・かなりドライなレーン
・バックエンドの動きをできるだけ抑えたい
・ウレタンのようなコントロール性能を求めている

といった場合は、別のボールのほうが目的に合う可能性があります。

アストロフィジックスは名作として高く評価されていますが、

「名作=どんなコンディションでも使える」

という意味ではありません。

ボールの性能を活かせる場面で使うことが重要です。

実際に投げた経験があるからこそ伝えたいこと

筆者はアストロフィジックスを実際に投げた経験があります。

それでも、

「自分が使いやすかったから、全員におすすめ」

とは考えていません。

ボウリングボールは投げる人によって評価が変わります。

球速が違う。

回転数が違う。

回転軸が違う。

レイアウトが違う。

そして投げるレーンも違います。

だからこそ大切なのは、

「このボールは何を狙って設計されているのか?」

を理解することです。

アストロフィジックスの場合、

R2Sパールで走らせる。

アトミックコアで転がす。

そしてバックエンドでしっかり向きを変える。

この設計を自分の球質や普段投げているコンディションと照らし合わせることが、ボール選びでは重要だと思います。

まとめ

アストロフィジックスは「走るフィジックス」を代表する名作

アストロフィジックスの特徴をまとめると、

・R2Sパールリアクティブ
・アトミックコア
・RG2.480(15ポンド)
・ΔRG0.053(15ポンド)
・マスバイアス差0.017(15ポンド)
・フレア6インチ以上
・1500グリット・ポリッシュ
・適性はミディアム
・2019年5月発売

となっています。

筆者がアストロフィジックスを改めて振り返って最も魅力的だと思うのは、

R2Sパールとアトミックコアの役割分担です。

手前を走らせる。

しかし、ただ滑らせるわけではない。

アトミックコアによって転がりを作る。

そしてブレークポイントからしっかりポケットへ向かう。

「カバーで走らせて、コアで転がす。」

非常にシンプルですが、この組み合わせの完成度が高かったからこそ、多くのプロや一般ボウラーから支持され、数年後にはアストロフィジックスIIまで登場したのではないでしょうか。

筆者自身も実際に投げた経験があるからこそ、アストロフィジックスを単純な「走ってキレるパール」だけでは説明したくありません。

走り。

転がり。

バックエンド。

そしてフィジックスらしい強いコア。

それらを高いレベルでまとめたことこそが、アストロフィジックスの魅力だと思います。

発売から時間が経った現在でも、

「走るフィジックスといえばアストロフィジックス」

と語りたくなる。

アストロフィジックスは、それだけ印象に残る一球です。

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