はじめに
フィジックスシリーズの中で「もう一度投げてみたい」と感じる人が多そうなボールのひとつが、**フィジックスSE(PHYSIX SE)**です。
発売されたのは2020年。
決して新しいボールではありません。
それでも中古市場で見かけると、ちょっと気になってしまう。
その理由は、フィジックスSEが単純に「よく曲がるフィジックス」ではなく、フィジックスらしい強いコアを残しながら、扱いやすさを意識した珍しいバランスのボールだったからではないでしょうか。
今回はフィジックスSEについて、スペックだけでは分かりにくいボールの特徴や曲がり方、どんなコンディションで使いやすいのかまで詳しく考察していきます。
フィジックスSEとは?
フィジックスSEは、STORM(ストーム)の人気シリーズ「フィジックス」の一員として2020年7月に登場したボールです。
最大のポイントは、
アトミックコア × ナノ・スムース・ソリッドリアクティブ
という組み合わせ。
歴代フィジックスにはNRG系カバーを使用したモデルが多く存在しますが、フィジックスSEではナノ・スムース・ソリッドリアクティブを採用。
フィジックスシリーズの強烈なコア性能を活かしながら、カバー側で過剰な反応を抑え、コントロール性能を高める方向に振ったモデルと考えると分かりやすいでしょう。
個人的にフィジックスSEを一言で表現するなら、
「暴れにくいフィジックス」
です。
フィジックスシリーズの魅力を残しながら、レーン上での動きを少し読みやすくしたような存在です。
フィジックスSEのスペック
| 項目 | スペック |
| メーカー | STORM(ストーム) |
| ボール名 | PHYSIX SE(フィジックスSE) |
| カバーストック | ナノ・スムース・ソリッドリアクティブ |
| コア | アトミックコア |
| RG | 2.480(15ポンド) |
| ディファレンシャル | 0.053(15ポンド) |
| マスバイアス差 | 0.017(15ポンド) |
| フレア | 6インチ+ |
| 表面仕上げ | 3000グリット・アブラロン |
| 硬度 | 73〜75 |
| カラー | 2トーンブラック・ソリッド |
| 対応重量 | 12〜16ポンド |
| フレグランス | レモンブロッサム |
| 適正レーン | ミディアム〜ミディアムヘビー |
| 発売時期 | 2020年7月 |
数字を見ると、やはり目につくのがアトミックコアです。
15ポンドでRG2.480、ΔRG0.053。
しっかり転がりながら大きなフレアを生み出せる、フィジックスシリーズを象徴するようなコアと言っていいでしょう。
フィジックスSEの特徴
フィジックスSE最大の特徴は「カバーとコアのギャップ」
フィジックスSEを理解するうえで重要なのが、
カバーは比較的扱いやすいのに、中身はアトミックコア
という点です。
これが非常に面白い。
強いカバーと強いコアを組み合わせれば、当然ながらオイルに強く、手前からしっかりキャッチするボールになります。
ところがフィジックスSEは、必要以上に手前で捕まり過ぎないカバーに、非常に存在感のあるアトミックコアを組み合わせています。
そのため、
「手前でエネルギーを使い切ってしまう」
というより、
奥まで力を残して進みながら、最後はコアの強さでしっかり向きを変える
というイメージを持ちやすいボールです。
ここがフィジックスSEの魅力でしょう。
手前の走り|ソリッドなのに意外とスムーズ
「ソリッドだから手前からガッツリ噛むのでは?」
と思うかもしれません。
ところがフィジックスSEは、いわゆる超強力ソリッドとは少し印象が違います。
もちろん表面は3000グリットなので、ツルツルのパールボールのようにスキッドするわけではありません。
ただ、必要以上に手前の薄いオイルへ反応しにくく、比較的スムーズに中盤へ入っていきます。
この「手前で捕まり過ぎない」という特徴はかなり重要です。
ゲームが進んでヘッドが削れてくると、強いソリッドでは投げた瞬間からボールが起き上がってしまうことがあります。
フィジックスSEはそこをある程度我慢してくれる。
だからこそ、フィジックスシリーズとしては比較的長い時間使いやすいタイプだと思います。
中盤|ここからアトミックコアが効いてくる
フィジックスSEの面白さは中盤からです。
手前をスムーズに通過したあと、徐々に転がりが強くなってきます。
ここで効いてくるのがアトミックコア。
低めのRGと大きなディファレンシャルを持つため、レーン中盤から存在感のある転がりを作りやすい。
「手前は思ったより走るのに、ボールが抜けっぱなしにならない」
この感覚がフィジックスSEらしさです。
単純にカバーを弱くしただけなら、オイル上で滑って終わってしまう可能性があります。
しかし、中に入っているのはアトミックコア。
そのためカバーの扱いやすさと、コアの強さを両立できています。
バックエンド|キレるというより「力強く向く」
ここはかなり重要です。
フィジックスSEを、
「走ってキレるボール」
と考えてしまうと、少しイメージが違うと思います。
もちろんブレークポイントからしっかり方向転換します。
ただしパール系ボールのように、一瞬で横へ飛ぶようなキレ方が最大の特徴ではありません。
イメージとしては、
スムーズに走る → 中盤から転がる → 奥で力強く向きを変える
という流れ。
この動きのおかげで、外へ出したときの急激な反応をある程度抑えながら、ポケットへ向かわせやすくなっています。
「奥で動いてほしい。でも暴れてほしくない」
そんな場面で非常に面白いボールです。
ピンアクションはやっぱりフィジックス
そしてフィジックスシリーズを語るなら外せないのがピンアクション。
フィジックスSEもここは強烈です。
アトミックコアによる回転の持続性があり、ポケットへ入ったときにボールが弱々しくなる感じが少ない。
特に厚めへ入ったとき。
普通なら嫌な残り方をしそうな場面でも、ピンを押し込んでくれるような期待感があります。
もちろん「フィジックスなら絶対にピンが飛ぶ」という話ではありません。
しかし、フィジックスシリーズが長年支持されてきた理由のひとつに、ポケットへ入ったときの強さがあるのは間違いないでしょう。
SEでも、その魅力はしっかり残っています。
フィジックスSEはどんなレーンに合う?
メーカーが示している適正レーンは、
ミディアム〜ミディアムヘビー。
実際、この辺りがフィジックスSEを一番使いやすいゾーンだと思います。
特に、
「強いソリッドだと手前から噛み過ぎる」
「パールだと奥の反応が激し過ぎる」
という中間の状況。
ここでフィジックスSEの出番です。
ある程度オイルがありながらも、手前が少しずつ削れてきたようなコンディションでは面白い選択肢になります。
逆に、かなりオイル量の多いコンディションでは、カバーの強さが足りずにブレークポイントまで滑り過ぎる可能性があります。
その場合は、よりカバーの強いボールへ変更したほうがラインを作りやすいでしょう。
フィジックスSEのおすすめライン
個人的には、フィジックスSEで無理に大外へ膨らませる必要はないと思います。
むしろ、
ある程度オイルを使いながら、ブレークポイントへ素直に運ぶライン
との相性が良さそうです。
例えばハウスコンディションなら、外のドライへ大きくぶつけて戻すよりも、中のオイルを上手く使いながらポケットへ寄せていく。
そのほうがSEのスムーズな動きを活かせます。
ボール自体に仕事をさせやすいので、無理に曲げようとしなくてもいい。
ここも扱いやすさにつながっています。
フィジックスSEが合いそうなボウラー
フィジックスSEは、こんなボウラーにおすすめです。
- フィジックスシリーズが好き
- アトミックコアの転がりが好き
- 奥で暴れ過ぎるボールが苦手
- 強過ぎるソリッドでは手前が噛んでしまう
- パールほど鋭い反応は必要ない
- ミディアム前後で使える安定したボールが欲しい
- 中古で昔の名作ボールを探している
特に「最近の強いボールはちょっと扱いにくい」と感じている人には面白いと思います。
フィジックスSEは派手な曲がりだけで勝負するのではなく、
レーンを読みながら組み立てるためのフィジックス
という印象です。
逆にフィジックスSEが合わない可能性がある人
万能というわけではありません。
例えば、
「とにかくオイルに強いボールが欲しい」
という人なら、フィジックスSEより強いカバーを搭載したボールを選んだほうがいいでしょう。
また、
「ドライへ出した瞬間に強烈に切り返してほしい」
という人にも、もっとバックエンドリアクションの強いパール系ボールのほうが分かりやすいと思います。
SEの良さは派手さよりも、
扱いやすさと強さのバランス。
ここを理解して選びたいボールです。
初代フィジックスとの違い
初代フィジックスも同じアトミックコアを搭載しています。
しかし初代はNRGハイブリッドリアクティブ。
フィジックスSEはナノ・スムース・ソリッドリアクティブです。
つまりコアが同じでも、レーン上での印象は同じではありません。
初代フィジックスの「強さ」を基準に考えると、SEは少し扱いやすい方向。
アトミックコアの強さを、よりコントロールしやすいカバーで引き出したモデル
という見方をすると、SEの立ち位置が分かりやすくなります。
「SE」の意味を感じるボール
フィジックスシリーズには数多くのモデルがあります。
その中でフィジックスSEは、個人的には少し異質な存在に感じます。
フィジックスという名前から想像する、
「強い」
「曲がる」
「ハイパフォーマンス」
という部分だけを追求したわけではない。
むしろ、
強いアトミックコアをどう扱いやすくするか?
という方向から作られたような印象があります。
だからこそ発売から時間が経過した現在でも、このボールを覚えているボウラーがいるのでしょう。
中古のフィジックスSEを買うのはアリ?
2020年発売なので、現在探すなら中古品やデッドストックが中心になるでしょう。
個人的には状態が良ければ「アリ」だと思います。
ただし中古ボールの場合は、
- プラグ歴
- 使用ゲーム数
- 表面状態
- オイル抜きの回数
- トラック傷
- 元のレイアウト
などは必ず確認したいところです。
特にフィジックスSE本来の動きを期待して購入するなら、表面状態は重要。
発売当時の箱出しは3000グリット・アブラロンです。
中古品は前オーナーによってポリッシュされていたり、逆に粗い番手へ変更されていたりする可能性があります。
「フィジックスSEなのに全然イメージと違う」
となった場合、ボールそのものではなく表面状態が原因ということも考えられます。
フィジックスSEの評価
最後に特徴を5段階でまとめてみます。
| 性能 | 評価 |
| 手前の走り | ★★★★☆ |
| 中盤の安定感 | ★★★★★ |
| バックエンド | ★★★★☆ |
| 曲がり幅 | ★★★★☆ |
| コントロール性能 | ★★★★★ |
| オイルへの強さ | ★★★★☆ |
| ピンアクション | ★★★★★ |
| 扱いやすさ | ★★★★★ |
※あくまでスペックやボール特性から考えた目安です。投球スタイル、レイアウト、表面状態、レーンコンディションによって動きは大きく変化します。
まとめ
フィジックスSEは「強さを扱いやすさに変えた」名作
フィジックスSEは、一見すると地味なボールかもしれません。
ブラックを基調としたカラーリング。
ソリッドカバー。
そして派手なバックエンドだけを狙ったボールでもありません。
しかし、そこがSEの良さです。
ナノ・スムース・ソリッドリアクティブによる扱いやすさ。
そこへ、
アトミックコアの強烈な回転性能。
この2つを組み合わせることで、
「走るのに弱くない。曲がるのに暴れにくい。」
という絶妙なポジションを作っています。
新しいボールが次々と登場するボウリング業界では、数年前のボールはどうしても忘れられていきます。
でも、新しいから自分に合うとは限りません。
むしろ自分の球質や普段投げているレーンに合うのであれば、過去の名作のほうがスコアにつながることもあります。
フィジックスSEは、そんな「もう一度見直してみたいボール」のひとつ。
フィジックスシリーズが好きな人はもちろん、
強いコアを感じながら、安定したライン取りをしたいボウラー。
そんな人には、今でも非常に興味深い1球ではないでしょうか。



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