2026年、ロトグリップの「グレムリン」シリーズに新たなモデルが加わりました。
その名も、
「ウィキッド・グレムリン(WICKED GREMLIN)」
です。
初代グレムリンのパール、グレムリン・ツアーXのハイブリッドに続き、今度は「ソリッド」。
しかし、ウィキッド・グレムリンを単純に、
「グレムリンをソリッドにしたボール」
と考えるだけでは、このボールの面白さは十分に伝わりません。
カバーストックには、新素材となる、
G-R1ソリッドリアクティブ
を採用。
そしてコアには初代グレムリンにも採用された、
ランジャ・マックスDコア
が復活しています。
ここで筆者が特に注目したのが、
「ソリッドなのに、手前から曲がりすぎることを狙っていない」
という点です。
一般的に2000番仕上げの強いソリッドと聞けば、
「手前から噛みそう」
「オイルにかなり強そう」
という印象を持つかもしれません。
ところがウィキッド・グレムリンでは、高めのRGを持つランジャ・マックスDコアを組み合わせることで、手前から中盤を進みながら、ダウンレーンでもしっかり反応するボールモーションを狙っています。
最初にお伝えしておくと、筆者はウィキッド・グレムリンを実際に投げたことがありません。
そのため、
「実際によく曲がった」
「バックエンドが強かった」
「ピンアクションが良かった」
といった実投したかのような評価は行いません。
メーカー公表スペックや製品コンセプトを確認しながら、
「なぜG-R1ソリッドなのか?」
「なぜランジャ・マックスDコアなのか?」
「どんなコンディションで使いやすそうなのか?」
という部分を筆者なりに考察していきます。
ウィキッド・グレムリンとは?
ウィキッド・グレムリンは、ロトグリップから2026年に登場したグレムリンシリーズの第3弾です。
シリーズを整理すると、
初代「グレムリン」はV-R1パール。
2作目「グレムリン・ツアーX」はV-R1ハイブリッド。
そして3作目となるウィキッド・グレムリンでは、
G-R1ソリッドリアクティブ
が採用されています。
さらにコアは初代と同じ、
ランジャ・マックスDコア。
つまり、
初代グレムリンのコアを復活させながら、カバーを新しいソリッドへ変更したモデル
と考えると分かりやすいでしょう。
ウィキッド・グレムリンのスペック
| 項目 | スペック |
| メーカー | ROTOGRIP(ロトグリップ) |
| ボール名 | ウィキッド・グレムリン |
| 英語表記 | WICKED GREMLIN |
| カバーストック | G-R1 ソリッドリアクティブ |
| コア | ランジャ・マックスDコア |
| コアタイプ | 非対称 |
| RG | 2.500(15ポンド) |
| ΔRG | 0.058(15ポンド) |
| マスバイアス差 | 0.010(15ポンド) |
| フレア | High |
| 硬度 | 73〜75 |
| 表面仕上げ | 2000 Abralon |
| カラー | シトリン/レッド/パープル |
| 重量 | 12〜16ポンド |
| 適性コンディション | ミディアム〜ミディアムヘビー |
| 日本発売 | 2026年9月予定 |
数字を見ると、かなり面白いスペックです。
15ポンドで、
RG:2.500
ΔRG:0.058
マスバイアス差:0.010
となっています。
特に注目したいのが、
RG2.500とΔRG0.058の組み合わせ。
RGは極端に低くありません。
一方、ΔRGはかなり大きく設定されています。
つまり、
「とにかく早く転がり始める」というより、ある程度レーン手前を進ませながら大きなフレアを作る
というコアの性格が見えてきます。
新開発「G-R1ソリッドリアクティブ」とは?
ウィキッド・グレムリン最大の注目ポイントが、
G-R1ソリッドリアクティブ
です。
メーカーによるとG-R1ソリッドは、ナノ粒子を使用していないカバーストックです。
しかし、単純に弱いソリッドというわけではありません。
従来のナノ無添加素材よりもローリングトラックの幅を広くすることを狙った設計になっています。
さらにメーカーでは、
V-R1よりも手前からグリップする。
しかし、ナノ粒子を100%配合したマイクロトラックスほど早く曲がりすぎない。
という位置づけがされています。
ここがウィキッド・グレムリンを理解するうえで非常に重要です。
「ナノ無添加=弱いカバー」ではない
G-R1ソリッドで個人的に興味深いのが、
ナノ粒子を使わずに、どこまでトラクションを作るか
という考え方です。
ボウリングボールは、単純にカバーを強くすれば使いやすくなるわけではありません。
強すぎるソリッドの場合、オイルには強くてもレーン手前でエネルギーを使いすぎることがあります。
その結果、
「ブレークポイントへ到達する前にボールが立ち上がってしまった」
という状態になることもあります。
ウィキッド・グレムリンでは、
V-R1より強く、マイクロトラックスほど早くない。
その中間を狙っています。
筆者としては、この「強すぎない強さ」がウィキッド・グレムリン最大のポイントになるのではないかと考えています。
ランジャ・マックスDコアを再び搭載
コアには、
ランジャ・マックスDコア
を採用しています。
これは初代グレムリンにも搭載されていたコアです。
15ポンドでは、
RG:2.500
ΔRG:0.058
マスバイアス差:0.010。
非対称コアですが、注目したいのは比較的高めに設定されたRGです。
一般的にRGが低くなるほど、ボールは早い段階から転がりやすくなります。
反対にRGが高くなるほど、レーン手前で直進性を作りやすくなります。
ウィキッド・グレムリンでは、
G-R1ソリッド+2000 Abralon
という手前からグリップを作りやすい組み合わせに対して、
RG2.500のランジャ・マックスDコア
を合わせています。
ここに、このボールの面白さがあります。
なぜ「ソリッド+高めのRG」なのか?
筆者がウィキッド・グレムリンで最も注目している部分です。
仮に、
強いソリッド
+
粗い表面
+
低RGコア
という組み合わせにすると、ボール全体としてかなり早い段階からレーンを読みやすくなります。
もちろん、それが必要なコンディションもあります。
しかしウィキッド・グレムリンでは少し違います。
G-R1ソリッドによってグリップを確保する。
2000 Abralonで摩擦を作る。
しかしランジャ・マックスDコアのRGは2.500。
つまり、
カバーではレーンを捉えながら、コアによって手前から転がりすぎることを抑える。
筆者としては、このバランスこそウィキッド・グレムリンの設計思想なのではないかと考えています。
ΔRG0.058にも注目
そして、もうひとつ見逃せないのが、
ΔRG0.058
です。
かなり大きな数値です。
ΔRGが大きいことで、フレアもHighに設定されています。
つまりRG2.500だけを見て、
「転がらないボール」
と判断するのも違います。
レーン手前では必要以上に早く立ち上がらない。
しかしコアが働き始めれば大きなフレアを作る。
この組み合わせによって、
手前を進ませながら、中盤以降ではしっかりボールを動かす
というモーションを狙っていると考えられます。
2000 Abralon仕上げ
工場出荷時の表面は、
2000 Abralon
です。
ポリッシュではありません。
そのため、レーン手前を大きくスキッドさせるタイプのボールとは考えにくいでしょう。
一方で、
「2000番ソリッド=手前からすぐ曲がる」
とも限りません。
先ほど触れたように、ウィキッド・グレムリンにはRG2.500のランジャ・マックスDコアが搭載されています。
カバーと表面でトラクションを作る。
コアで必要以上に早い立ち上がりを抑える。
そして大きなΔRGによって中盤以降の動きを作る。
表面だけではなく、カバーとコアをセットで考える必要があるボール
だと思います。
ウィキッド・グレムリンはどんな動きが予想できる?
ここからは実投レビューではなく、メーカー公表情報とスペックからの考察です。
ウィキッド・グレムリンは、
G-R1ソリッド
+
2000 Abralon
+
ランジャ・マックスDコア
+
RG2.500
+
ΔRG0.058
という組み合わせです。
メーカーは、手前で安定したグリップを作りながら中盤を力強く進み、ダウンレーンでもしっかり向きを変える方向性を示しています。
つまり、
「手前から噛んで、そのまま緩やかに曲がり続けるソリッド」
とは少し違いそうです。
筆者としては、
ソリッドらしいミッドレーンの安定感を持ちながら、バックエンドの動きを失いにくいタイプ
として考えています。
筆者の考察|最大の魅力は「ソリッドなのに奥の動きを捨てていない」ことでは?
改めてお伝えすると、筆者はウィキッド・グレムリンを実際に投げたことがありません。
その前提でメーカー情報とスペックを見ていて、最も興味を持ったのが、
「ソリッドなのに奥の動きを捨てていない」
という点です。
ソリッドボールに求められるものは、一般的にオイルへの強さや安定感です。
しかしカバーを強くしすぎれば、手前から反応しすぎる場合があります。
反対に手前を走らせすぎれば、ソリッドを選ぶ意味が薄くなることもあります。
ウィキッド・グレムリンは、
カバーでグリップを作り、コアで走行距離を確保し、大きなフレアによって中盤以降の動きを作る。
このバランスを狙ったボールなのではないでしょうか。
「強いソリッド=早い」という考え方だけでは説明できない
ボウリングボールを選ぶとき、
「ソリッドは早い」
「パールは走る」
と分類すると分かりやすいです。
しかし実際のボールモーションは、それほど単純ではありません。
例えば、
強いソリッド+高RGコア。
弱めのパール+低RGコア。
この2つでは、カバーだけを見て想像した動きと実際の動きが異なる可能性があります。
ウィキッド・グレムリンは、
「ソリッドだから早い」という固定観念だけでは理解しにくい設計
です。
カバーだけではなく、
コア。
RG。
ΔRG。
表面仕上げ。
これらをまとめて見る必要があります。
初代グレムリンとの違い
ウィキッド・グレムリンを理解するうえで、初代グレムリンとの比較は重要です。
両モデルには、
ランジャ・マックスDコア
が採用されています。
大きな違いはカバーストック。
初代グレムリンは、
V-R1パールリアクティブ。
ウィキッド・グレムリンは、
G-R1ソリッドリアクティブ。
です。
つまり同じコアを使いながら、
初代はパール。
ウィキッドはソリッド。
という明確な役割分担があります。
初代よりもウィキッド・グレムリンのほうが、手前〜中盤でトラクションを作りやすい設計になっています。
一方、ランジャ・マックスDコアを共通化することで、グレムリンらしいダウンレーンの動きも残す。
「初代の良さをそのまま強くした」のではなく、「同じコアを使って違うコンディションへ対応させた」
と考えるほうが分かりやすいでしょう。
グレムリン・ツアーXとの違い
シリーズ2作目のグレムリン・ツアーXでは、
V-R1ハイブリッド
が採用されています。
そして3作目のウィキッド・グレムリンではG-R1ソリッド。
シリーズとして、
パール
↓
ハイブリッド
↓
ソリッド
とカバータイプが展開されてきたことになります。
ただし、
パール<ハイブリッド<ソリッド
と単純に強さだけで並べるのはおすすめしません。
コアや表面仕上げまで含めて、それぞれ異なるボールモーションを作っているからです。
グレムリンシリーズを複数持つ場合は、
「どれが一番曲がるか?」
ではなく、
「どのタイミングでどのグレムリンへ持ち替えるか?」
という視点で考えると面白いと思います。
ミディアム〜ミディアムヘビー向け
ハイスポーツが示している適性コンディションは、
ミディアム〜ミディアムヘビー。
です。
G-R1ソリッド+2000 Abralonという組み合わせを見ると納得できます。
筆者が特に注目したのは、メーカーが想定している使用場面です。
塗りたてのハウスコンディション。
そして変化していくトーナメントコンディション。
さらに、
強い非対称ボールでは早くフックしすぎる場面での代替候補
として紹介されています。
これは非常に面白い立ち位置です。
「一番強い非対称ボール」ではなく、その一段下として考えたい
ウィキッド・グレムリンは非対称ソリッドです。
それだけを見ると、
「バッグの中で一番強いボール」
と思うかもしれません。
しかしメーカーが示している役割は少し違います。
よりアグレッシブな非対称ボールが手前からフックしすぎる。
でも、まだオイルは残っている。
そんな状況でウィキッド・グレムリンへ変更する。
つまり、
「強い非対称ソリッドの一段下」
という使い方も考えられます。
これはトーナメントで非常に重要な役割です。
フレッシュだけではなく変化したコンディションにも注目
ウィキッド・グレムリンはフレッシュコンディションだけのボールとは限りません。
トーナメントで投球数が増えると、レーン手前が徐々に変化していきます。
最初に使っていた強い非対称ソリッドでは早くなってきた。
しかし弱いパールへ変更するほどオイルがなくなっているわけでもない。
その中間で、
トラクションを残しながら少し走行距離を確保したい。
そんな場面がウィキッド・グレムリンの出番になる可能性があります。
スピード優位のボウラーにも気になる
球速が速いボウラーの場合、弱いカバーではオイル上でボールが立ち上がらないことがあります。
ウィキッド・グレムリンはG-R1ソリッド+2000 Abralon。
カバー側には十分なトラクションが期待できます。
さらにΔRG0.058という大きなフレアポテンシャルがあります。
そのため、
「オイルには負けたくない。でも強い非対称ソリッドほど早くしたくない」
というスピード優位のボウラーには興味深い存在だと思います。
回転数が多いボウラーにも面白そう
反対に回転数が多いボウラーの場合、強いソリッドではレーン手前から反応しすぎることがあります。
そこで注目したいのが、
RG2.500
です。
G-R1ソリッドで必要なトラクションを確保しながら、高めのRGを持つコアによって必要以上に早く立ち上がることを抑える。
この組み合わせが実際のレーンでどう働くのかは非常に興味があります。
特に回転数の多いボウラーや両手投げで、
「ソリッドは必要だけど、早すぎるボールは使いにくい」
という人はチェックしておきたいモデルではないでしょうか。
どんなボウラーに向いていそう?
メーカー公表情報やスペックから考えると、
・ミディアム〜ミディアムヘビーを中心に投げる人
・ソリッドリアクティブが欲しい人
・強い非対称ボールでは手前から早すぎる人
・ミッドレーンの安定感が欲しい人
・ソリッドでもバックエンドの動きが欲しい人
・フレッシュからレーン変化まで対応したい人
・グレムリンシリーズが好きな人
・初代グレムリンを使用している人
・トーナメント用のボールラインナップを増やしたい人
・大きなフレアを持ったボールを探している人
などには興味深い選択肢だと思います。
ただし、実際のリアクションは球速、回転数、回転軸、PAP、レイアウト、表面状態、オイルパターンなどによって変化します。
逆におすすめしにくいケース
ウィキッド・グレムリンにも得意・不得意はあります。
例えば、
・かなりドライなコンディション
・ライトオイル中心
・とにかく手前を走らせたい
・パール特有の鋭いバックエンドだけを求めている
・弱いリアクティブボールを探している
といった場合は、別のボールのほうが目的に合う可能性があります。
ウィキッド・グレムリンは、
「ソリッドなのに比較的奥まで行く」
のであって、
「ドライでも使える弱いソリッド」
という意味ではありません。
この違いはボール選びで注意したいところです。
筆者が実際に投げるなら確認したい3つのポイント
筆者はまだウィキッド・グレムリンを投げたことがありません。
もし実際に投げる機会があれば、特に確認したいポイントが3つあります。
1つ目は、
G-R1ソリッドがどの位置からレーンを読み始めるのか。
2つ目は、
RG2.500のランジャ・マックスDコアによって、2000番ソリッドでもどこまで手前を楽に通せるのか。
そして3つ目が、
ミッドレーンでトラクションを作ったあと、ダウンレーンにどれだけエネルギーを残せるのか。
です。
個人的には3つ目が最も気になります。
強いソリッドは中盤での安心感がある反面、手前でエネルギーを使いすぎれば奥の動きが弱くなることがあります。
ウィキッド・グレムリンが、
「噛むのに奥でも動く」
という設計通りのバランスをどこまで実現しているのか。
実際に投げて確認してみたい部分です。
筆者はウィキッド・グレムリンを投げたことがありません
改めてお伝えすると、筆者はウィキッド・グレムリンを実際に投げたことがありません。
そのため本記事では、
「実際に手前を楽に通った」
「ミッドレーンでかなり噛んだ」
「バックエンドが強かった」
「ピンアクションが良かった」
といった実体験としての評価は行っていません。
本記事で紹介したボールモーションについては、
メーカー公表情報とスペックを確認したうえでの筆者の考察
です。
当ブログでは、投げていないボールを投げたかのように紹介するのではなく、
メーカー公表情報。
スペック。
実際に投げた経験。
そして筆者自身の考察。
これらをできるだけ区別して紹介したいと考えています。
ボウリングボールは高価な道具です。
だからこそ、
「分からないことを断定しない」
ことも、ボールレビューでは大切だと思っています。
まとめ
ウィキッド・グレムリンは「噛むのに早すぎない」を狙ったソリッド
ウィキッド・グレムリンの特徴をまとめると、
・2026年登場のグレムリンシリーズ第3弾
・G-R1ソリッドリアクティブ
・ランジャ・マックスDコア
・非対称コア
・RG2.500(15ポンド)
・ΔRG0.058(15ポンド)
・マスバイアス差0.010(15ポンド)
・Highフレア
・2000 Abralon
・ミディアム〜ミディアムヘビー向け
となっています。
筆者がスペックを確認して最も面白いと感じたのは、
「ソリッドのトラクション」と「高めのRG」を組み合わせたこと
です。
G-R1ソリッドでレーンを捉える。
2000 Abralonで安定した摩擦を作る。
しかしRG2.500のランジャ・マックスDコアによって、必要以上に手前から立ち上がることを抑える。
そしてΔRG0.058による大きなフレアで、中盤からダウンレーンへ動きをつなげていく。
つまり、
「噛む。でも早すぎない。そして奥でも動く。」
このバランスこそ、ウィキッド・グレムリンが目指したボールモーションなのではないでしょうか。
筆者自身はまだウィキッド・グレムリンを投げていないため、実際の使用感について断定することはできません。
それでも、
「強い非対称ソリッドでは早すぎる」
「でも弱いボールへ落とすにはまだオイルが多い」
「ソリッドの安心感を残しながらダウンレーンの動きも欲しい」
そんなボウラーにとって、ウィキッド・グレムリンは非常に興味深い一球だと思います。
そして何より、
「ソリッド=手前から早い」だけではボウリングボールを説明できない。
ウィキッド・グレムリンは、カバーストックだけではなくコア、RG、ΔRG、表面仕上げまで合わせてボールを見ることの大切さが分かるモデルではないでしょうか。



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